過去ログ - 奉太郎「軽音楽少女と少年のドミノ」
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26: ◆2cupU1gSNo
2013/07/01(月) 21:12:04.37 ID:wMCLhwQ+0
これで決まりだろう。
俺は里志を連れてその教室に向かっていた。
こんな単純な仕掛けに気付かなかった自分が少し情けない。
「仕方ないよ、ホータロー」
俺を慰めるわけではないだろうが、里志が苦笑を浮かべながら言った。
「『ゲーム』のヒントとして本を渡されたら、誰だってその本の中身から調べる。
カバー裏に何か隠されてるかもってことには気付くだろうけど、
まさか紙製のブックカバーに隠された本来のブックカバーに仕掛けがあるなんてすぐには気付かない。
一見しただけでは全く同じなんだし、
カバー裏を調べるにしても紙製のブックカバーごと外すのは自然な行動だよ」
確かに自然な行動だ。
実際俺もそうしたし、カバー裏に何もなかったことに落胆した俺はそのまま文庫本に掛け直してしまった。
そのまま紙製のブックカバーを外してさえいれば、こんなにも遠まわりすることはなかったのだ。
千反田がこれを予期していたとは考えにくいが、してやられたという気持ちが大きい。
「それよりさ、ホータロー?
その教室で間違いないのかい?」
いつまでも起こったことを悔やんでいても仕方がないと言いたかったのだろう。
里志が俺の答えの続きを促し、俺も気を取り直して頷いて見せた。
「ああ、まず間違いない。
分かってみれば実に簡単な答えだ。
『車輪』はお前の言う通り『社会』の暗喩。
この学校で『社会』と関係のある教室は三つの社会科教室だ。
残った問題は『下』が何を意味しているかのだが、
上下逆に掛けられた本来のブックカバーを見れば一目瞭然だ」
「『下』じゃなくて『上』ってことかい?」
「馬鹿みたいに単純だと思うか?
しかしそれでいいんだ。
これは解かれるための『ゲーム』なんだからな。
無理に難解に考える必要は全くない。
それにそう考えれば、これで対象の教室が一つに絞り込める」
「どうしてだい?」
「第一、第二社会教室は何階にある?」
「四階……。
なるほど、そうか」
「四階の『上』は屋上だ。
そういう考え方もなくはないが、屋上ではあまりにも範囲が広過ぎる。
社会科教室でない教室の『上』でもあるしな。
これは『ゲーム』の解答としては面白い物じゃない」
「そうだね。
でもそれなら一階にある『社会科資料室』でもいいんじゃないのかい?
『上』の意味が完全に分かってるわけじゃない。
上の階の教室ではなく、『社会科資料室』の天井という可能性もあるじゃないか」
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