1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/10(月) 20:38:23.59 ID:BJNTEmrI0
P「……」カタカタ
小鳥「……」カタカタ
閑散とした事務所に、打鍵音だけが響く。
日が傾き、赤くなる少し前。
P「……」カタカタ
小鳥「…………あ」カタ
P「? どうかしました」カタカタ
小鳥「……パソコン、止まっちゃいました。あー、私の一時間を返して〜」
P「いい加減、新しいPC買ってもらいましょうよ」
小鳥「まだこの子は戦えるんですぅ!
事務所移転したら新しくなっちゃうんだから、それまで使い倒してやらないと」
P「で、今日も残業っと」
小鳥「そこは、ほら、優しいプロデューサーさんが
『仕方ないな小鳥、付き合ってやるよ。夜までな』
的な!」
P「妄想するのは勝手ですけど、自分を巻き込まないでください。今日は定時で上がります」
小鳥「あ、最近美味しい海鮮料理のあるお店見つけたんですよ〜。日本酒も種類があって〜」
P「……仕方ないな」
小鳥「小鳥って呼んで! 小鳥って!」
P「やめろ!」
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/10(月) 20:39:23.71 ID:BJNTEmrI0
小鳥「……経費精算はすぐ出してくださいねって言ってるのに、月末に出す人のせいですよ、ね」
P「…………悪い人間が居たもんですね!」
3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/10(月) 20:40:49.52 ID:BJNTEmrI0
温められた急須からお茶が注がれ、湯呑が湿った音を立てる。
狭い事務所で、その音はよく響いた。
小鳥「はい、どうぞ」
4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/10(月) 20:41:38.55 ID:BJNTEmrI0
小鳥「忙しくてみんなとゆっくりお茶も出来ないですよ〜。あ、プロデューサーさん」
P「なんです?」
5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/10(月) 20:42:12.58 ID:BJNTEmrI0
「プロデューサーさんっ。これからも、ずっと私といてください! お別れなんてイヤです!」
6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/10(月) 20:43:28.46 ID:BJNTEmrI0
チクンと、胸に何かが刺さった気がした。
P「……ええ。たまにメールしてますよ」
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/10(月) 20:44:12.56 ID:BJNTEmrI0
春香は、あの日から、俺の手を離れた。
その選択が良かったのか、今の俺には分からない。
8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/10(月) 20:45:56.36 ID:BJNTEmrI0
小鳥「え? 春香ちゃん?!」
P「!」
9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/10(月) 20:47:27.46 ID:BJNTEmrI0
外に出ると、高かった日がもう落ちかけているのがわかる。
空はその色を変える一歩手前。
小鳥「ええ、直ぐには帰らないと思うわよ。私もプロデューサーさんも
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/10(月) 20:48:18.81 ID:BJNTEmrI0
一人にされた事務所。
秒針の足音だけが響く。
スリープ状態になったパソコンのランプが赤く光る。
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