4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/06/12(水) 20:51:10.57 ID:vLNSj/6Bo
真奥「……うーむ」
時刻は深夜に差し掛かる頃。
花の金曜日ということもあり、酒に酔う人々で溢れる中、彼は目的の店の前に立っていた。
あらかじめ目星をつけていた店。あとは入店するだけだったが、彼の足は動かなかった。
真奥(……なんだこの、得体の知れないプレッシャーは)
まず店構えが怪しい雰囲気だ。
店は雑居ビルの一角にあり、看板がなければ外からは何の店か分からない。
店であるはずなのに、まるで人を寄せ付けないようだ。
それは業種の特性上当然のことだったが、初心者の真奥にそんなことは分からなかった。
ただただプレッシャーだけを感じる。
加えて、本当にこの店で良いのかという疑念もある。
短い時間の中で、ではあるが検討に検討を重ねたはずだ。
良心的な料金、そして見目好い嬢のラインナップ。
しかしそれでも、ここで正解だと断じるには迷いがあった。
その理由は噂に聞く、パネルマジック。
マジック、というから魔術の類かと最初は思った真奥だったが、どうやら違うらしい。
だがその効用はまさに魔術と言っても過言ではない。
何でも機械の力を使い、不細工を美人に見せる魔性の業であるとか。
魔力も聖法気も持たないこの世界の住人が幻覚魔術に類する術を使うことに驚いた真奥だった。
真奥(本当にここでいいのか……? リーズナブルなだけあって、サイトに載ってた嬢の顔写真はぼやけていた)
真奥(向こうだって客商売なんだ、あからさまに騙すようなことはしないはず……だが確証はない)
真奥(なけなしの小遣いを使ってババ掴まされました、なんてことになりゃしないか……!?)
エンテ・イスラの征服計画を練ったときに匹敵するほど、ともすればそれ以上に頭を回転させる。
だが所詮答えの出ない悩みであり、入るか、入らないか、選択肢はそれだけだ。
そして何よりも彼を悩ませるのは、
真奥(……俺、魔王だよな?)
こうしている間にもなくなっていっている感がある自らの威厳が、
店に入ることで決定的な崩壊を起こす気がしないでもなかった。
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