過去ログ - これからぼくが自殺する部屋
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19: ◆ty8oEf4R2M[saga]
2013/06/15(土) 21:46:19.69 ID:fWp4BBAy0

「とりあえず、今日は解散にしよう」

本当であれば今からでも悪くはなかったのだが、情報が足りない。
彼女の言葉も真実であろうけれど、側面的だと思った。
ぼくは綴真也の視点からの情報を求めた。

「では、明日。こちらから連絡致しますので、よろしくお願いします」

「こちらこそ」

ぼくは電車に揺られながら、事件のことしか知らないのだな、と思った。
結局のところ、ぼくは咲坂未来との関係性を知ることはなかった。
追々聞くにしても、どんな顔をして尋ねればよいものか。

仮に、この綴真也と咲坂未来が恋愛関係にあったとしたならば、問題だ。

ぼくは、君とどういう関係だっけ。とてもそんな質問はできない。
普通の女性ならば、きっと感情的になり、敵意を向けてくるだろう。
そこまで考えたところで、彼女ならそんなことはないだろうと思った。

知り合いが五人も亡くなっているというのに、あの冷静な態度。
連続して発生する身内の自殺に、神経が慣れてしまったのだろう。
そんな彼女の存在が眩しくてたまらなかった。彼女のその、強さが。

自らの住所を尋ね歩いた先は、とある集合住宅の一室であった。
エレベーターを降り、右に進んだ先の角部屋に、綴真也は住んでいた。
電車に揺られていたときに発見したキーケースから一本ずつ差し込んでいく。

ドアを開いた先は、ぼくが想像していた綴真也の人間性を表していた。

家具は驚くほど少なく、生活感は虚無感に埋め尽くされていた。
部屋の間取りを確認し、同居している人間がいないことを確かめていた。
荷物を漁り、冷蔵庫を漁り、ようやく落ち着いたのが午後十時を過ぎてからだった。

ぼくは、円形のガラステーブルに設置されていたノートパソコンが気になった。




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