過去ログ - ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…
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203: ◆EhtsT9zeko[sage]
2013/06/28(金) 19:57:57.63 ID:OJWBqZ2T0

 「アヤさん、ここに、その協力者って人が?」

ハンナが少し不安そうに話しかけてくる。ここはフクオカの街の路地裏。

怪しげな店が立ち並んでいて、行きかうやつらもガラの悪い連中ばっかりだ。

ま、アタシにとっちゃ、慣れた感じだったけどな。施設にいたころは、こんなとこばかりに入り込んで遊んでたし。

「あぁ、この先の飲み屋のはずなんだけど…」

アタシは、シローから指示のあった住所と、地図を見比べながら返事をする。ハンナはこんなとこ来たことないんだろう。

なんだかビクビクしちゃってて、ちょっと申し訳ない感じがする。

 不意に、目の前に人が現れた。痩せ細った、タッパのある男だ。

そいつの目はアタシらを品定めするみたいに嘗め回している。うーん、こいつじゃなさそうだな、シローの知り合いってのは。

 「悪いな、ちょっと約束あるんでそこどいてくれるか?」

アタシが押しのけようとしたら、男はそんなアタシの腕をつかんだ。

「まぁ、そう連れないこと言うなよ、お姉さん。俺たちと遊んでくんないか?」

男は品のない笑い方でそう言うと、アタシらの後ろに目配せした。そこには、別の若い男が二人。

ニヤニヤとしながら突っ立っている。ったく、騒ぎは起こしたくないんだけどな…

ま、こんな場所なら、別に憲兵も警察も治安部隊も来やしない、か。

「ハンナ、あんたやれる?」

アタシはハンナに聞いてみた。意味が分からなかったのか、彼女はおびえた瞳でアタシを見つめ返してきた。

あぁ、そうだった。こいつ、素人だったな、戦闘は。

アタシは、昨日の夜、ペンションに入ってきたハンナのことを思い出した。

拳銃先に突っ込んだら、抑えられちゃうだろう、ハンナ。ああいうときは、まずは視界を確保するのが優先なんだよ。

 そんな講義を後でしてやらなきゃな、と思いながら、

アタシは握られた腕を払いのけるとそのまま踏み込んで、反対の腕を振り上げながら拳を男の顎の真下からたたきつけた。

舌、噛んでなきゃいいけどな。

「がっ…」

男はそう呻いて二、三歩後ずさる。

「この女!」

後ろにいた男たちのいきり立った声が聞こえる。挟まれるのは、ちょっとうまくないよな。

アタシは目の前でよろめいている男の下腹部を思い切り蹴りつけて昏倒させ、ハンナの手を引いてその上を飛び越した。

 向き直って迎撃だ。

「ハンナ、アタシの後ろを離れんなよな」

ハンナを背中側に押しやって、そうとだけ言った。残りの男二人がとびかかってくる。

まったく、こいつら、こんな風体でケンカ慣れすらしてないのかよ。

 アタシは真っ先に飛びかかってきた方のヤツの顔面に拳を突き出した。メリっと鈍い音がして衝撃が走る。

あぁ、鼻潰しちまった。男はそのまま地面に崩れて悶絶する。

そのすぐ後ろから来た最後の一人はアタシを羽交い絞めにでもするつもりだったんだろう、腕をグッと伸ばしてきた。

バカだな。そんなことしたら…

 アタシはその腕を取ってひねり上げた。こうなっちゃうだろ?

男がそれでも抵抗しようとするので、迷うことなくその腕を思い切りひねってやった。グキっと鈍い音がした。

あーあ、大人しくしてればよかったのに…間接外しただけだから、許せよな。


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