過去ログ - ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…
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222: ◆EhtsT9zeko[saga]
2013/06/29(土) 17:06:59.28 ID:200yW6J00

 アタシは後ろから来るハンナをチラッと見やった。ハンナは、覚悟を決めているようで、険しい表情でコクンとうなずいた。

いい度胸だよ、あんた。マライアに見習わせてやりたいよ。

アタシはそんなことを思いながら、天井板の一枚をずらして、

そこから歯医者で使うみたいな折れ曲がった先についた小さな鏡をその隙間に差し込んだ。下の様子をうかがう。

 廊下の曲がり角に、兵士が一人、暇そうに突っ立っている。歩哨の様だ。あいつは…移動はしなさそうだな…

くそ、実力行使に出るほかに手だてはなさそうだ…なるだけ騒ぎにならないように始末をつけないと…。

 「ハンナ、アタシが合図したら、床板蹴りぬいて下に飛び降りろ」

ハンナにそう指示をした。

「廊下の角に、見張りがいる。あんたは囮だ。あんたとは一瞬だけタイミングを遅らせてアタシが降りる。

 制圧はアタシに任せて、降りたらすぐに床に伏せろ」

「はい」

ハンナは返事をして、すぐに身構えた。うん、やっぱり、度胸だけは据わってんな。

アタシは位置を替えて、曲がり角の奥側へと位置取る。ハンナとは、歩哨を挟む形で降り立て場所だ。

ハンナに意識を集中させているところを、叩く。

 勝負は、一瞬だ。ヘマするなよ、アタシ…!

 ハンナの方を見た。彼女は、アタシを見て、力強くうなずいた。アタシは、サッと右腕を振り下ろした。

 ハンナが、天井板を蹴って穴を開ける。次いでアタシは、板を蹴りぬかずにそのまま板の上に身を投げた。

ガクン、と鈍い衝撃とバンッと言う板の割れる音がして、アタシの体は宙に浮いた。

 眼下に、ハンナの方を向いて慌てて銃を構えようとしている歩哨が見えた。

アタシは床に降り立った体勢から、両脚のバネで一気に踏み切り、掌底を歩哨の胸板に叩き込んだ。これで一瞬、呼吸が止まる。

呼吸が止れば、声は出ない。喉を狙って声帯をつぶすという手もあったけど、できるなら、致命的なケガを負わせたくなかった。

 歩哨はカヒュッと喉を鳴らした。効いたな。

 アタシはそのまま、歩哨の持っていた自動小銃に手をかけて奪い取り、その銃床で顔面をぶん殴った。

メキッと鈍い音がして、歩哨は音もなく床に崩れ落ちる。

 ふぅ、これで良し、っと。

「アヤさん…やっぱすごいよ…」

ハンナがつぶやきながらアタシのところに歩いて来た。いや、まぁ、これくらいはなんでもないよ。

ビビらせることはあっても、感心されたことなんてあんまりないから、ちょっとだけ照れてしまった。

 っと、そんなこと言ってる場合じゃない。アイナさんのところに急がないと…

「おい!どうした!?」

不意にそう声がした。

―――しまった!

声を聞き取ったのと、ハンナの後ろの廊下に人影が見えたのはほぼ同時だった。反射的にハンナの腕を引っ張って隠れる。

間一髪、ハンナの姿は確認されなかったようだが、バタバタと数人分の足音が聞こえる。一人じゃなかったか…これは、まずいな…

 後ろを振り返るが、拘禁室はまだ先だ。ここで叩くしかない。

「ダリル、悪い、トラブった。拘禁室のエリアの照明を落としてくれ」

<了解。合図任せる>

「行くぞ、5、4、3、2、1、ダウン!」

ジジッと、電灯から音がして、キュンッと言う音とともにアタリが真っ暗になった。

 そのとたん、耳が壊れちまうんじゃないかってくらいの爆音で警報が鳴りだした。


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