過去ログ - ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…
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386: ◆EhtsT9zeko[saga]
2013/07/14(日) 19:22:28.14 ID:wdMbbXOG0

「こちらピクス。軌道上へ到達」

<こちらキャリフォルニア管制塔、フォルク。了解した。無事を祈る>

「感謝する、中尉」

 ルーカスが無線を終えてため息をついた。あたしは景気をチェックする。

気密状態は、大丈夫。他の異常も見当たらない。ここまでくれば、安定だ。

 「機体、オールグリーン」

ルーカスにそう報告する。

彼は、返事の代わりに、ノーマルスーツのヘルメットのシールドを開けて息をいっぱいに吸い込んだ。

そんな気分だよね。あたしは思わず笑ってしまった。

 それよりも、レオナの様子が気にかかる。ヘルメットを脱ぎ、ベルトを外して席を蹴る。

体がふわりと浮きあがった。天井に手をついて軌道を変え、レオナの据わっている席へと体を押し出す。

 レオナの席に飛び込んで、ヘルメットの中のレオナの顔を覗き込んだ。

レオナは焦点の合わない瞳を震わせていた。初めての大気圏離脱なんて、こんなものだ。

訓練もなしに、良く気を失わないで済んでいる方だ。

 あたしは、レオナのヘルメットを脱がせた。

「レオナ、聞こえる?ゆっくり、大きく深呼吸だよ」

そう言ってあげるとレオナは、一瞬、正気を取り戻して、酸素を胸いっぱいに吸い込んだ。

そして、その吸い込んだ空気を、ため息と一緒に吐き出す。

「すごいんですね…打ち上げって」

冷や汗をぬぐいながらレオナが言う。

「マスドライバーは速度が出るから特にね。ブースターの打ち上げの方が多少は楽なんだけど、

 この機体だと使い捨ての補助ロケットが必要で、高くついちゃうんだよ」

あたしはそう言いながら、レオナのベルトを外した。

 ふわりと浮きそうになったレオナがとっさにあたしの体にしがみついてきて、思わず顔を見合わせて笑ってしまった。

窓の外には、青く輝く地球が見える。

 帰ってきたんだ、宇宙へ。ライラ、いる?ただいま…。

あたしは、いつの日だったか、ライラと一緒に戦艦の甲板で同じ地球を見上げていたときのことを思い出して、

こころの中で思わず、そう語りかけていた。



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