過去ログ - ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…
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489: ◆EhtsT9zeko[saga]
2013/08/10(土) 19:55:15.31 ID:Wzwnx14z0

 バタバタと足音が聞こえて、ドカン、と病室のドアが開いた。

あたしはビクッとして、剥いていたリンゴを取り落としそうになって振り返った。

 そこには、ジュドーくんが居た。

「プルツー…!」

ジュドーくんは、プルツーを見るなり、ウルウルと目に涙を溜め始めた。

「お兄ちゃん!」

プルツーはまるではじけ飛ぶみたいにベッドから飛び起きると、ジュドーくんに飛びついた。

ジュドーくんが涙をこぼすよりも早く、プルツーの方がジュドーくんに顔をうずめてワンワンと泣き出した。

ジュドーくんは、そんなプルツーを優しく抱きしめて、頭を撫でてあげている。

 …お兄ちゃん、ってどういうこと…?

 あたしは、頭にふっと湧いたそんな疑問を、とりあえず隅に追いやって、二人の再開を眺めていた。

なんか、あれだな…こういうのって、見てるとすごく嬉しい気持ちになって来るよね…。

 どれくらい経ったか、プルツーは泣きやんで、そっとジュドーくんのそばを離れた。

「プルツー、お前、大丈夫なのか?」

ジュドーくんの問いかけに、プルツーは笑って

「うん、なんだか、変な感じだけど」

と答えた。

「変な感じ?」

「うん…一人じゃないみたいなんだ、わたし」

プルツーは、自分でも不思議そうな顔をしてジュドーくんに言った。

 一人じゃ、ない…それって、マリや、他のプルシリーズがどうのこうの、って話とは、違うよね…?

あたし達と一緒にいたから、ってことでもないんだろうな…きっと。あたし、その感じ、たぶん、分かる…

「どういうことだよ?」

ジュドーくんが聞いたら、プルツーは自分の胸に手を置いた。

「ここにいるんだ、プルが」

「え?」

うん、知ってた…。マリとケンカになったあとに、感応したあたしとは別に、あなたの中には別の思念があった。

それはとても穏やかで、優しい誰か。ううん、あたしは、それが誰かも分かっていたのかもしれない。

まだ不安定なプルツーを支えるために、レイチェル、エルピー・プルが遺して行ったんだね。

「うまく言えないんだ。でも、わたしのここに、プルもいるの」

「…そっか」

たぶん、ジュドーくん、あんまり意味分かってないだろうけど、でも、すごく優しい目をして、

またプルツーを抱きしめた。なんだろうな、この14歳。すごく大人に見える…お兄ちゃん気質、なんだね。



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