過去ログ - ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…
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545: ◆EhtsT9zeko[saga]
2013/08/13(火) 20:06:06.58 ID:VbWE6aCM0


 UC0074.8.1

 「ん、良い感じ。今度は、右を動かしてみて」

私は、ここのところ、レオナを研究室に連れ込んでは、実験の手伝いをしてもらっていた。

7歳になるレオナは、私とユリウスの英才教育のおかげか、小学校に行かずに、

もっぱら中学生用の教科書やなんかで勝手に勉強している。

利発、と一口に言ってしまってはもったいないくらい、頭の良い子だ。

「ん」

そんなレオナは、頭にいっぱい電極を貼り付けて、目の前にある私が作ったとある実験装置を見つめている。

バッテリーと簡単なモーターに受信機、それから電気信号で収縮する人間の筋肉を模して造られた特殊繊維を使って作った。

本体から特殊繊維と金属のフレームを使った二本のアームが伸ばしてあるだけの、簡素なものだけど。

 キュインと音を立てて、向かって右側のアームが動く。うん、上々かな。

まさかこれほどうまくいくとは思わなかった。

 コンコン、とドアをノックする音が聞こえた。キュウン、と機械のアームが意思を失ったように垂れ下がる。

「どうぞ」

私が声を掛けると、研究室に入ってきたのはユリウスだった。まぁ、特に驚くようなこともない。

「ほら、差し入れ持って来たぞ」

ユリウスは、手にドーナツショップの紙袋を抱えていた。これはありがたい。

この実験をすると、レオナ、ちょっと憔悴気味になるんだ。甘いものでも食べさせてあげないと、申し訳ないと思ってた。


「わー!ドーナッツ!」

レオナはパァッと明るい笑顔を見せた。今日もかわいくてなによりだ、レオナ。

 「ちょっと休憩にしよか。紅茶淹れるから、レオナはテーブル片付けといてよ」

「うん!」

レオナは素直にそう返事をして頭から電極を外し、テーブルの上にあった機材を片付け始めてくれる。

私も、部屋に備え付けの電気ケトルからポットにお湯と茶葉を入れて、適当にカップも揃えて、テーブルに並べた。

「今日のは?」

「地球産の、ちょっと良いヤツ。アールグレイ、って言ったかな?」

「地球産か。これは期待できそうだ」

ユリウスも、相変わらずのきれいな顔でそう言い、笑う。

しなだれかかりたくなるのを抑え込んで、紅茶を淹れて、テーブルに着いた。



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