過去ログ - ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…
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569: ◆EhtsT9zeko[saga]
2013/08/14(水) 22:56:09.75 ID:p5dyD009o

 「モーゼス博士、マリオンはどうだったっけ?」

「彼女は、孤児だと聞いてますな。ニュータイプスクリーニングテストで引っ掛かった子らしいです」

「ニュータイプ?」

私は聞きなれない言葉に反応して、そうたずねていた。

「あぁ、我々の仲間内では、感応能力者をそう呼んどるんです」

「ニュータイプ…新しい型の、人類、か」

「そうですな…」

モーゼス博士は、そうつぶやくように返事をした。

 「私は時々、彼らが怖いのですよ」

急に、博士はそんなことを言いだした。

 怖い?あの子たちが?

「どういうことだ、博士?」

ユリウスが先を促す。

「彼らの能力は、我々、古いタイプの人間を、いつかは消し去ってしまうのではないか、と思うと、と言いますかな」

「あぁ、まぁ、適者生存が進化の法則だからな。抗おうとすることは、無意味だ」

博士の言葉にユリウスは言った。私もそう思う。

もし、あの子たちが新しい人類なんだとすれば、古いタイプの人類がいずれ数が少なくなっていくんだろう。

それが、戦いによるものか、あるいは、吸収されるような形で、なのかは、分からないが。

「そうとも言えますな。だが…彼らの能力は、我々を殲滅するのに、余りある。

 人口の10%が入れ替われば、古い我々はたちまち淘汰の憂き目にあうでしょう」

「あたしには、あの子たちがそんなことをするとは思えないけどね」

ユリウスは言った。

「あの子たちの力は、過密状態から宇宙へと進出した人類が必要だと選択して得た力だ。身近に接していてわかる。

 あれは、人間が人間たるための能力なんだよ。

 人口過密と、資源不足、そしてこの広大な宇宙へ飛び出るって経験の中で、

 よりよく他者を理解し、共生して行くための能力だと、あたしは思ってる」

「そうでしょうな、悪い物であるとは思いません。ですが、人類の種として意思と、人間の意思とは必ずしも一致ますまい?」

博士の言いたいことは、分かる。子ども達の能力は、脅威だ。

私も想像した通り、その気になれば、あの能力を利用して無数の人間を殺すことだってできる。

だから、私達は、あの子たちを“ちゃんと”育てなきゃいけないんだ。

善悪、道徳、そう言う物をきちんと教えておかないといけない。

脅威だから、と言って迫害すれば、それこそ、敵対する者に容易に牙をむける存在になる。

それは、ニュータイプでも、古いタイプの人間でも、同じことだ。



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