85:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/07/13(土) 09:39:50.93 ID:GD4r91210
「流石に情報筋まで教える事はできんが、黒い部分のある金貸しならうちの親父のコネで調べられる。その結果じゃけえ、情報は信頼してもらってええ」
巴は桃華の写真と情報の書かれた紙を拾い上げると俺へと差し出した。
「封筒の中身には一通り目は通したんじゃろ?その中にこの資料が入っていた段階で、心の準備は出来ておったと思ったんじゃがのう」
俺は巴からその紙を受け取り、一瞥した。
桃華の写真の笑顔がちくりと胸を刺激した。
「話には続きがあってのう。数ヶ月前、つまりは社長が借金をし始める少し前の事になるんじゃが、何社かの金融の周りで桜井の影がちらついていたんじゃ。もちろん、リストアップした会社の中にも複数入っとる正直、狙いはわからん。Pの言うとおり桃華を芸能界から離すことが目的かもしれんし、他になにかあるのかもしれん」
「ナターリアと桃華の家の関係は?」
「わからん。じゃが、関係がないとは言い切れん。これからまたPの命が狙われる事についても否定はできん」
言葉が出てこない。冷や汗に濡れたシャツの不快感とねっとりとした雰囲気が時間の経過を遅く感じさせる。
「……わかった。こっちでもいろいろと考えてみよう。だからわかったことがあればどんな事でもいい。教えてくれないか?」
「わかっとるよ、今日話せるのはそのくらいじゃけえ。不確定な情報を悪戯に広げてしまうのも気が引けるけえの」
巴は顔を上げると組員に視線をやった。
「Pの周りにはこれからうちの若いモンつける。万が一のためじゃ、事が起きてからでは遅いけえ。それとこの部屋は明日まで使える。好きに使ってもらってええよ。こんな時間まですまんかったのう」
時計に目をやると既に日付は変わっていた。
巴は椅子を引き、組員は帰りの支度を始めた。
「巴、こんなこといえる立場じゃないが、あまり危ない事に首を突っ込むなよ。お前の年齢で知るべきではないことが多すぎる」
「心配してくれるんか?ありがたいがそういう家庭じゃけえの。ある程度は慣れとるよ。うちは大丈夫じゃけえ」
組員がドアを開くと、ぼんやりと薄暗い明かりが見えた。
一瞬彼女が見せた困ったような笑顔が脳裏に焼きついた気がした。
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