11:お団子 ◆bZ4I4TB4eY
2013/06/23(日) 02:51:58.60 ID:fsTa2P7q0
◇◆◆04◆◆◇
とても綺麗だと思った。
女子にしてみれば一段と低いハスキーボイスもそうだったが、
この学校の指定服、つまりは制服に包まれている体にも、健全なる男子高生ならば惹かれていたこと間違いなしだ。
引っ込むと事は引っ込んでいて、出る所はちゃんと出ている、
俺の妹が一目見たら喉から手が出るほど欲しがることは絶対と言えよう。(それでも届かないのが世の中である、とても非情だ)
髪はとても滑らかで透き通るようになびいている、茶髪のようだが、後ろの日光のせいでオレンジにも見える。
十人十色、百人百色とはよく言うが、それでもきっとこの狐の面を被った少女ならば、誰もが振り向くだろう、
それが例え女子だったとしてもだ、本人に話したら恐らく『それは言い過ぎというものだよ、加減を覚えた方が良いね、◎君』
と返されるだろうが、それでも、それでもこの時この瞬間、俺はその狐の面の少女に、恋をしていたといっても過言ではないだろう。
その位にはそれ以上に、彼女が綺麗だったという事だ。
話を戻そう、その質問に対して少々畏まりながらにも返事をする。
◎「は、はい。一応、入部希望者です」
その様子が可笑しかったのか(僕からしてみればそのお面の方が可笑しいのだが)ケラケラと笑って見せる。
狐「ああ、いやいや、済まないね、確かに聞いているよ……えっと、◎くんで良かったかな?結構に良い名前じゃあないか」
覚えやすいね、と一言付け加えて、こちらを見遣る、美紀先生はどうやらあだ名で話を通してしまったらしく、間違った方向に進んでいた。
このままでは記号名称で呼ばれ続ける事となってしまう、それだけは避けなくてはならない。
一応名前を名乗っておく事にした、
◎「いや、僕は――――――と言います、それはあだ名です」
そういうと至極驚いたというような顔をしていた、どうやら本当に記号が名前の後輩がいると思っていたらしい、
天然なのかそれともそういうわざとなのか……。
狐「ふうん、それにしても良い名前じゃないか、大事にしなよ」
ぱたん、と気前の良い音が鳴る、どうやら少女の読んでいた本が読み終わったらしい。深呼吸にも似た大きなため息をすると、
一番近くの机に優しく本を置いた。
狐「いや、それにしても助かったよ、我が古典部にはちょいとばかし人数がご覧の通り足りなくてね、少々困ってもいたんだ」
狐「なに、謎解きに困っているだなんてことは無いから安心していいよ」
尤も、あったらあったで面白いんだろうけどね、と続けた少女ははっと気づいたように一つ咳払いをする。
「おっと、申し遅れたね、どうにも自分の事だと饒舌になってしまう節があるな、
私は火灯、火灯月祢という、学年は恐らく君の一つ上だ、しいては君の先輩だ、これからよろしく頼むよ」
ひともしつきね、そう彼女は名乗った。
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