3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/18(火) 00:13:54.61 ID:epGhJc5fo
撮影所は車で数十分程度の所だった。行き慣れた道を通りながら、彼はちら、とバックミラーを覗く。
目と目が合い、まゆはにっこりと笑った。
はは、と口だけでも軽く笑い返して、目線を戻す。バックミラーからは、彼女の熱い視線が投げ続けられている。目が合わない訳はなかった。
目の前の信号が赤に変わる。ゆっくりと車を止めて、肩の力を抜く。
「そんなに見られてると、恥ずかしいな」
「……イヤ、でしたかぁ?」
曇った声音で、言葉が帰ってくる。
「そういう訳じゃない。ただ見られているだけってのが、なんだか、くすぐったくてな」
プロデューサーがそう訂正すると、バックミラーの向こうで、まゆはうふふと笑った。
「そうですかぁ。嬉しいです」
「嬉しい?」
「ええ、嬉しいですよぉ」
まゆの言葉に首を傾げながら、プロデューサーは青信号に合わせて、正確にアクセルを踏む。
「まゆのこと、気にしてくれているって、そういう所からわかるじゃないですかぁ」
プロデューサーは、そうか、と生返事をした後も、静かに車を走らせた。
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