4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/18(火) 00:15:31.93 ID:epGhJc5fo
モデルという範囲であれば、このプロダクションでは佐久間まゆを上回る逸材はいない。元モデルのアイドルというのは競合他社にも何人かいるが、その中でも引けを取らないと、プロデューサーは考えている。
彼女は自らの見せ方を熟知している。自らという身体の魅力をどのように表現すべきかという点では、限界まで研ぎ澄まされた刃物に似ている。
(正直言えば、異常だ)
撮影風景を見ながら、プロデューサーは思った。
身体全体の動きから表情の子細に至るまで、彼女は齢十六にして不備がない。人並み外れたという所はないが、必要なものはすべて取り揃え、そして完璧に使いこなしている。
ストロボの光の中で、まゆは笑顔を振りまく。ライブの時も同じだ。あの笑顔は作られた物ではない。
心の内にある感情がそうさせている。そうでなければ、こうも大成はしない。作りものの笑顔なんてものは、案外するりとわかるものだ。
「はい、オッケーです! 次の撮影は外になるんで、いったん休憩になります!」
「お疲れさまでしたぁ」
まゆは皆に笑顔でそう言うと、まっすぐにプロデューサーの元に駆けてきて、にっこりと笑って言う。
「プロデューサーさん、お弁当作ったんです。一緒に食べませんかぁ?」
寸分違わぬ笑顔。振りまく笑顔の底が、なにも変わらない。背筋に冷たいものが走るような悪寒を、プロデューサーは感じた。
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