過去ログ - ヒイロ「インフィニット・ストラトス」
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[saga]
2013/06/19(水) 22:59:33.21 ID:arP0Pr4AO
女の子は普通に笑っただけだが、ヒイロにとっては笑う行為自体、知らない。
正確には、彼女のような邪気の無い笑顔など組織にいた頃はまず見れない。
下卑た笑い声や、人を見下す笑みなどしか知らない。
「……」
少しだけ戸惑う。初めてみる人間の笑顔に。
「ん?どうしたの?私の顔に何か付いてる?」
「いや…何でも、ない」
その光景を少しだけ離れた彼女の母親がほくそ笑んでいた。
気が付いたら夜も遅く、22時まで話しこんでいた。(正確には彼女が大半を話していたが)
ヒイロは彼女の話しに相槌を打つような行動しかしなかった。
とはいえ、話しを聞いてない訳ではないのだ。
一方的に話す彼女に話しを聞くだけしかできないヒイロ。
そんな二人を見ている笑顔の母親。
第三者が見たら、なんだかんだで仲の良い家族に見えるだろう。
しかし、母親がふと思い出したような顔をして二人の会話(?)に割って入った。
「ねぇ、今更…何だけどぉ…君の名前をまだ、聞いてなかったわ。」
そう言えば、と言わんばかりの顔をする女の子。
その表情を見て、え?っと驚く母親。
まだ、お互いの名前を明かしてなかった事に驚いた。
「うぅ…だって彼、怪我とかしてたし、草原の真ん中で寝っ転がってたから名前よりまず、どうしたのかなー?って思ったの」
確かに、このような子供が草原で寝っ転がって、近づいて見たら傷だらけなのだから名前よりまず安否を確認する筈だ。
とは言え、この家に来る途中までの移動手段は歩き。
ならばそれは二人が歩いて来たと言う事になる。
…全然大丈夫だった。
ヒイロはケロリとしていたから普通に会話が可能である。
「名前を聞かれなかったから答えてないだけだ」
ヒイロはそんな人間だった。
それを聞き、少し頬が赤くなってる自分の娘を見て笑った。
こうして夜は更けていった。
彼女との出会いから一ヶ月が過ぎようとしていた。
それは決してヒイロが手に入れる事はできない、平穏で暖かい時間であった。
2人はよく外に出ては友達と色々な場所に行ったり、家に帰れば母親が美味しいご飯を作って一緒に笑える。
女の子のように笑う事はできないが、それでも微笑む事はできていた。
失った心が徐々に修復されていた。
しかし…幸せは長くは続かなかった。
近くでホワイトファングの残党が暴れているらしく、死者が多数出ていた。
その中には彼女の友達や、母親の知り合いも含まれていたのだ。
2人は号泣していた。
変わり果てた友の姿に抱きついて泣いていた。
そして、気付いてしまう。
「これが…」
ヒイロ・ユイがしてきた事の一つである事に。
かつてのヒイロなら何も感じなかった…しかし今は違う。
今は人間として生きているのだ。
故にまた悩んでしまう。考えてしまう。
そして…後悔してしまう。
その日の夜は、とても暗かった。
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