12: ◆O5fCOSbq8Q[saga]
2013/06/23(日) 23:33:04.00 ID:M42jirwy0
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【6月23日・雨】
こんなに日記を書きたいと思ったのは今日が初めてかもしれない。
それはどうしてなのかと言うと、サプライズプレゼントがあったからなんだけど。
今日は朝から雨模様だとか、今までの悩み事がどうだとか、そんなのはどうでもよくなった。
それにしても、何から書こうかな?書きたい事がありすぎて悩むわね……
まあ、とりあえず落ち着きましょう。はしゃいだままだと支離滅裂になりそうだし。
今日はスケジュール通り、午後4時には仕事も全部終わっていた。
この段階では「やっぱりプレゼントなんて無いんだな」って思ってた。
だって、事務所の誰も今日の話題には触れないし、普段と何も変わらなかったから……
朝に出社してから、プロデューサーはいつもと同じように忙しそうにしてるし
小鳥さんもいつも通り電話対応。春香達だって、挨拶だけするとすぐに仕事に行っちゃった。
この時点で私のテンションはガタ落ちだったのよね。社会人失格だわ……
あれだけ『期待しない方がいい』とか考えてたのに、結局は期待してて
それで「馬鹿な事を考えてるから惨めな思いをするんだ」なんて、一人で勝手にふてくされてたっけ。
心配してくれたプロデューサーにも不機嫌そうにしちゃったし、本当に恥ずかしい……
明日、ちゃんと謝っておこう。
朝から不機嫌になったけど、仕事は仕事。
まさかサボるわけにもいかないし、竜宮の皆と一緒に収録に向かったのよね。
収録は順調に進んで、4時には完全にフリーの時間ができていた。
亜美とあずささんはすぐに帰りたい用事があるとかで、さっさと帰ってしまったけど
伊織だけは5時まで事務所に居て、ソファで時間を潰してた。
それで、5時になるといきなり「今後の活動について話があるから家に来て」と言ってきた。
まあ、特に仕事が溜まってたわけじゃないから付き合ったんだけど
伊織の家に着いたら「私の部屋に行っておいて」と言われて、不思議に思いながらもそうしたのよね。
そこからは驚きの連続だった。
伊織の部屋に入ったらいきなり『パンッ』って音がして、何かと思えば亜美とあずささんが居て。
後ろからもまた同じ音がして、振り向いたら伊織が『してやったり』みたいな顔で笑ってた。
それで「ハッピーバースディ!」って言われて……思わず泣いてしまった。
涙も嗚咽も止まらなくて、「ありがとう」って言いたかったけど、すぐには言えなかった。
早く泣きやもうと思ったのに、伊織に「いいのよ」って言われたせいで、泣きやむのが遅くなった。
その間にあずささんがハンカチで涙を拭いてくれて、亜美には頭を撫でられて……
皆の優しさが嬉しくて……余計に涙がとまらなくなったのよね。
落ち着いてからネタばらし?されたけど、二人が先に帰ったのはサプライズを隠すためだったらしい。
「律子さんの驚く顔なんて珍しいですね〜」ってあずささんに言われて、ちょっと恥ずかしかった。
それと、やっぱりあの日記は誕生日を意識させるためだった。
伊織曰く「あんたは仕事の事ばっかり考えすぎなのよ。たまには自分の事で悩みなさいよね」とのこと。
色々と気を遣わせてしまったみたい。もっとしっかりしないと……
なんて反省していたら、亜美が「まあ、律っちゃんが悩んでるのを見るのも目的だったけどねー」
とか言うし、伊織を見れば目を逸らすし、あずささんですら苦笑いしてるしで
私をあたふたさせて楽しもうって魂胆があったのも間違いないみたい。素直に感謝して損した気分だわ……
本当は今日のパーティーに真美達も来る筈だったらしい。でも居ないし、どうしてか訊いてみたら
「今日は竜宮小町で祝いたいから」だって。また涙腺が緩みそうだったわ……
驚いたのは、それを言い出したのが亜美だってことなのよね。
よくよく話を聞いてみると、真美も亜美がそう言いだすのは分かってたみたいで
「じゃあ今日はお留守番だね」と言って、「真美も行きたい」とは一言も言わなかったらしい。
本当に、いつの間にか大人になってるものね。なぜかやたらと粋なのが気になるけど……まあいいか。
それから伊織の部屋でささやかなパーティをして、プレゼントを渡してくれる話になった。
用意してくれていたのがすごく嬉しかった。それだけで満足しちゃったぐらい。
そう言ったら「プレゼントを受け取らないなんて何様のつもりよ!」って怒られた。
伊織もこういうところは不器用なのよね。私には言われたくないでしょうけど。
肝心のプレゼントは今も箱の中に入れたまま置いてある。
本当は手にとって眺めてみたり、身に着けて姿見の前に立ったりしてみたい。
……のだけど、『もし壊してしまったら』と思うと怖くて
皆の前で一度だけ開けたのはいいけれど、それからずっと触れないままでいる。
というか、身に着けるのも躊躇うぐらい高い気がするのよね、これ……
伊織の話では特注の品……つまり、世界で一つだけの品らしい。
そんな物を渡されて「ありがとう!早速着けてみるわね!」と言えるほど、私は豪胆じゃない。
もっと素直に喜べればいいんだけど、変なところで臆病なのよね……
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