過去ログ - 律子「日記」
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13: ◆O5fCOSbq8Q[saga]
2013/06/23(日) 23:59:24.05 ID:M42jirwy0
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プレゼントはネックレスだったんだけど、どうしてそうなったのかというと
「律子さんはもうちょっとお洒落した方がいいと思うの!」とあずささんが力説したから、らしい。
伊織も亜美もそれには賛成だったらしくて、あっという間に『アクセサリー』に決まったみたい。
それから「ネックレスなら服にも隠せるし、派手好きじゃない律子には合ってるわね」
と伊織が言って、とんとん拍子に決まっていったんだって。
確かに私なら「イヤリングとかよりもネックレスの方が好き」と言うかもしれない。
本当に、こういうところは鋭いのよね……嬉しいけど、ちょっと恥ずかしい。

それで、デザインはどうするのかって話になったみたいだけど、亜美が
「律っちゃんも竜宮の一員だし、海っぽいのにしようよ」と言い出して、人魚に決定したらしい。
帽子があって、そこに竜宮小町のエンブレムが着いているのも亜美のアイデアみたい。
「亜美達は4人で『竜宮小町』だから」って言ってくれて、また泣きそうになった。

これで大まかなデザインは決定したらしいんだけど、これだけじゃ寂しいと思ったあずささんが
「律子さんの誕生石を両手で持たせてみたらどうかしら?」って言ったらしく
私の誕生石である『ルビー・イン・ゾイサイト』が添えられるようになったみたい。
ロマンチストなあずささんらしいアイデアだけど、『ルビー・イン・ゾイサイト』なんて初耳だった。
あずささんが言うには「律子さんにピッタリな意味ですよ」とのことだけど
気になって調べてみたら少し複雑な気分になった。まあ、自分ではそう思うものなのかもね。
まさか意味を見て「まあ!私にピッタリじゃない!」とか言う人なんていないだろうし。

こうして三人のアイデアを取り入れた結果、できたのが
『横座りしながら両手で誕生石を抱いて、被った帽子にエンブレムを着けた銀細工の人魚』のネックレス。
三人で一つのプレゼントにしたのは、何が欲しい物なのか全然分からなかったから……というのは建前で
本当の理由は、亜美が「せっかくだから三人で豪華なヤツにしよーよ!」と言ったからだって。
とはいえ、一つだけだと寂しいから、他に欲しい物があるならそれも追加するつもりだったみたい。
そこまで気を遣わなくても……と思ったけど、私の事を考えてくれたのはやっぱり嬉しいな。

そういえば、プレゼントのお金に関しても結構揉めたらしい。
どうしてかというと、亜美が「亜美も大人だから、ちゃんと三等分して出したい」って言ったからだって。
ただ、あずささんは「私はもっと多く出したかったんですけど……」って残念そうに言ってたし
伊織も伊織で「私が全額払うつもりだったのに」って愚痴ってた。
その意味するところを考えると、とても嬉しいのだけど……なぜか粋な感じが拭えないのよね。
ともかく、結局は三等分で落ち着いたみたい。亜美がドヤ顔してたのが印象的だったわね。

プレゼントを貰ってからも少しだけパーティーは続いたけど
気がつけばもう10時を回っていて、亜美も眠そうだったからお開きになった。
それで、今はこうして日記を付けてるんだけど……まさか二ページに及ぶとは思わなかったわ。
やっぱり、プレゼントを貰って嬉しかったのが原因かしらね。初日は全然書けなかったのに。
こうしてみると、私も人の事を言えないぐらいには単純なのかも。

このネックレス……触るのはまだ怖いけど、明日には着けていきたいな。
それで、皆の前でもう一回「ありがとう」って言いたい。「すごく嬉しかった」って伝えたい。
それに、これは私が『竜宮小町』の一員である事の証明みたいなものだから。
そう考えると、多分、今までの人生で一番のプレゼントかもしれないわね。

明日と言えば、伊織が「明日は事務所の皆がプレゼントをくれるわよ」って言っていたのを思い出した。
……あれ?私、明日どんな顔をして事務所に行けばいいんだろう?
プレゼントされるのが分かってる場所に行って、期待した目で相手を見るのはよくないんじゃ……
いやでも、それじゃあ澄ました顔でしれっと「ありがと」とか言えばいいっていうの?
いやいや、これは感じ悪いわよね……どうすればいいのかしら?
って、また同じ事を考えてるわ……もっと堂々としてればいいじゃない。
と思ったけど、堂々とプレゼント受け取るって何よ。そんなのできるわけないじゃない。
ああもう……なんで私って融通利かないんだろ……

もう日記を書くのはやめた方がいいのかも。私には向いてないみたい。
でも『4人揃って竜宮小町』って言ってくれたりとか、プレゼントにあんなに気を遣ってくれたりとか
そういう事を書き留められたのはよかったかもしれないわね。それだけは伊織に感謝しようかな。
それにしても、お返しはどうすればいいかしら……これに見合う物なんて思いつかないわね。
あの子達ならどんな物でも喜んではくれるでしょうけど、でも何となく負けた気分になるし
絶対にいい物を選んでみせるわ。

それで、結局私はどんな顔をして事務所に行けばいいのかしら……?
伊織に訊いたら教えてくれる……わけないわよね……

まあいいか。今日も普通に事務所に行ってなんとかなったんだし
明日も多分、なんとかなるわよね。
……まあ、不機嫌な態度は取らないようにしないとね。何も無くても、それが普通なんだし。
祝ってくれたら素直にお礼を言って、感謝を伝えられたら……きっと、それだけでいいんだと思う。
こんな事を考えてても、多分、少しは期待しちゃうかもしれないけど
伊織に言われた通り、たまになら自分の事だけで悩んでもいいわよね。
それじゃ、おやすみなさい。
明日、楽しみだな……

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――END――


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