過去ログ - モバP「いいお酒が手に入ったので」
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53: ◆eBIiXi2191ZO[saga]
2013/06/25(火) 12:16:54.20 ID:kReHRw+40
 午後。
 今度はボイストレーニング。
 歌はカラオケ程度しかやったことがないから、これはかなり興味がある。

ベテトレ「まずは、ピアノに合わせて『お』で歌ってください」

 こんなレッスンは、高校の音楽の授業以来かな。
 校内合唱コンクールでがんばったのも、いい思い出。

 音階がどんどん上がっていく。
 なんとかついていく。結構きついな。

ベテ「はい。おつかれさまです」

 終わったときは、のどに熱を持つような感触が残った。

ベテ「高垣さんの声質は、とても素直できれいですよ」

楓「ありがとうございます」

ベテ「音域も広いので、いい歌い手さんになると思います」

楓「そうなんですか?」

ベテ「3オクターヴ近く出せる人はそれだけで貴重ですよ?」

楓「はあ」

 そう言われても、どうすごいのか全くわからない。

ベテ「やや声量が細いのと、換声点付近がふらつくので、トレーニングは必要ですね」

楓「換声点って、なんですか?」

ベテ「地声から裏声に切り替わるところです。のどの筋肉の使い方が変わるんですよ」

楓「ほー」

ベテ「輪状甲状筋っていう筋肉です。声帯を引っ張る筋肉ですね」

楓「ふむふむ」

 私はただ相槌を打つだけ。専門外だからさっぱりわかってない。

ベテ「歌うには、ダンスと一緒で、専門の筋肉をフル活用しないとならないんですよ?」

楓「それを鍛えていくってことですか?」

ベテ「そうです。ただ使いすぎは筋肉に無理をさせてしまうので、少しずつ」

楓「はい」

ベテ「休養もすごく大事ですよ? 商売道具ですからね?」

楓「ああ。はい。そうですね」

 言われて気づく。
 そうか、アイドルって歌う仕事もあるんだ。
 自分がその立場になるとは、全く思ってなかったけど。
 そもそも、この歳でアイドルって。

 ……いや。
 私よりも先輩の方がいるじゃないか。年齢的に。
 歳は関係ないな。うん。
 彼女たちは、確かに魅力的だ。
 自分がそこを目指せるかはわからないけど。でも。
 こういう仕事に就いたのだ。
 やるからには、全力。
 昔からそうじゃないか。

ベテ「じっくりやっていきましょう。ね?」

楓「はい、お願いします」

 少しはアイドルらしいプロ意識を持てただろうか?


     ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


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