過去ログ - ソ連尉官「自分達が」　国民党兵「魔王と戦う？」 -SS速報VIP

過去ログ - ソ連尉官「自分達が」　国民党兵「魔王と戦う？」

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98: ◆aRgoaeaPZM
2013/07/01(月) 16:31:14.61 ID:8axkNy4xo
川の中央の足場になりそうな地面にたどり着いたが、ドイツ兵はすぐ先、飛び石づたいに歩いていた。

ドイツ兵との距離は数メートル、数十センチ…あと少し…今なら押せる…

「うわっ！」

ドイツ兵が足を滑らした。
無意識に手を伸ばす。

「……。」

僕もつんのめって川に落ちそうになったが、しゃがみ込んで堪えた。

「助けろとは言ってないぞ」

ドイツ兵はまたもやふてくされた表情をしていた。

「そうだね」

僕もそう返し、また飛び石づたいに渡り始める。

どうしてあそこで助けたんだろう。
でも、もう突き落とそうとする考えはさっぱり無くなっていた。

・・・・・・・・・・

目の前には沼地が広がっていた。

ドイツ兵はまだ元気そうだが、僕はもう歩けそうにない。

ドイツ兵は進んでいく。
ブーツで泥を踏みならし、足をとられそうになりながらも進む。

僕は動けなくなってしまった。
数歩進んでも着いてこない僕を不振に思ったのか、ドイツ兵は訝しげに後ろを振り返る。

「動けなくなっちゃったみたい」

ドイツ兵は黙ってこちらに歩み寄り、背中を向けた。

「乗れ」

・・・・・・・・

僕が乗ったとき、彼の背中の大きさに気がついた。

彼の方は何かに気づいたのか顔をさっと赤らめ、そしてばつが悪そうにそっぽを向き、また歩き始めた。

僕をしょっているせいで前にもまして泥に足をとられそうになる彼に、申し訳ないとは思いながらも、揺られているうちに寝てしまった。

「呑気な奴だな…」

最後にそう聞こえた気がした。

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