過去ログ - ソ連尉官「自分達が」　国民党兵「魔王と戦う？」 -SS速報VIP

過去ログ - ソ連尉官「自分達が」　国民党兵「魔王と戦う？」

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97: ◆aRgoaeaPZM
2013/07/01(月) 15:31:53.71 ID:8axkNy4xo
彼はため息をついてから、はっとした表情をし、ふてくされたように歩き出した。

「どこへ？」

「お前には関係ない」

「そう」

僕も歩き出した。

「どうして着いてくるんだ」

「君には関係ない」

「そうかよ」

僕たちは数時間歩き続け、そろそろ足が限界に近づいてきた。
彼も時々躓きそうになったり、立ち止まって足をほぐしたりしていた。

「ねぇ」

「何だよ」

「そろそろ休まない」

「どうしてお前に指示されなきゃならないんだ」

「いや、疲れてそうだから」

見渡す限りの草原、地平線までずっと草が続いている。
太陽はその地平線にかかり始めていた。

「もうすぐ日が暮れるよ」

「そうかな」

僕は目の前のドイツ兵の背中を眺めていた。
肩からＹ字型のサスペンダーを下げ、ガスマスク缶を背負っていた。
制服は尻ポケットの半分までしか裾の長さがなく、僕はこのお陰で彼の身長が高く見えていたことに気づく。彼の身長は案外低かった。

「…どこまで着いてくるんだ」

「目的地はあるの？」

「…ない」

僕たちはそれからずっと無言で歩き、とうとう辺りは真っ暗になってしまった。

「疲れた。俺はここで休むからな」

「そう」

彼は装備一式を降ろし、鞄を枕がわりに寝転がる。
僕もそれを真似した。
疲れていたお陰ですぐに寝付くことが出来た。

・・・・・・

翌日、僕らは野宿のせいで痛む腰を庇いながら、さらにどこかに向かって歩いていた。

その甲斐あって景色は変わり、目前には川が見えた。
ごうごうと音を立てるその川の流れはかなり急なようだ。

僕たちは何も食べておらず、せめて空腹をまぎらわそうと水を汲んで飲む。

一息ついた後、ドイツ兵は川を渡ろうとした。僕もそれに続く、そして考えた。

（今なら目の前のドイツ兵…ニェーメツを川に突き落とせる）

（奴等は僕の国を滅茶苦茶にし、村で略奪を働いた。その報いを受けなくて良いのだろうか？）

悶々としながら、僕はドイツ兵の背中を追って川を渡る。
石から石、慎重に、滑らないように。
足元がふらつき、空腹で動きが鈍る。

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