過去ログ - 律子「煙草は人を変えてしまいます。」
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1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/22(土) 23:01:02.50 ID:R4yff/rr0
・地の文多め
・初投下
です。至らぬ点も数あるかとは思いますが、ご容赦ください。

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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/22(土) 23:02:34.12 ID:R4yff/rr0
吸って、吐く。当たり前の動作に白い煙を交える事で、気持ちのスイッチを切り替える。
6月の生温い風が俺の体を撫で、白い煙は辺りに薄く広がり、消えた。
765プロダクションが入っているビルの屋上は、誰にも邪魔されず一服できる俺だけの場所だった。


3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/22(土) 23:03:09.43 ID:R4yff/rr0
がちゃり。

「プロデューサー?どうしたんです?こんなところで。」
見つかってしまった。
「へぇ、プロデューサーって煙草吸われるんですね。」
以下略



4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/22(土) 23:05:30.20 ID:R4yff/rr0
「でも、知りませんでした。ちょっと意外です。」
「そうかな。」
「そうですよ。多分、誰も気付いてないですよ。」
「あいつらの前じゃ吸わない事にしてたからな。アイドルは健康第一……ってね。」
携帯灰皿を取り出し、吸っていた煙草を片付ける。
以下略



5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/22(土) 23:06:03.87 ID:R4yff/rr0
「いつから吸い始めたんですか?私のプロデュースをしてた頃は、一切そんな素振りを見せませんでしたけど。」
さすが律子、鋭い。
「丁度、律子のプロデュースを終えてからだよ。」
「どうして、そんなタイミングで?」
「よく覚えてないけど、気分かな?」


6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/22(土) 23:06:43.64 ID:R4yff/rr0
律子が俺の同僚になってから、久しぶりに二人きりになれた。昔を思い出す。
「そういえば律子、そっちの仕事の方は?」
「雑誌の取材を終わらせました。午後からはレッスンです。3人とも、今は事務所で休憩してるところですよ。そちらはどうなんです?」
「事務所にいる真と雪歩以外は、ロケやCM撮影。午後には二人をテレビ局まで送るから、今は俺が休憩中。」
「順調ですね、お互い。」
以下略



7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/22(土) 23:07:53.85 ID:R4yff/rr0
2年ぶりの何気ないひと時が、今の二人には新鮮だった。

「今頃、真と伊織が喧嘩してる頃かな?」
ふと、なんとなくそうつぶやいた。
「だったら亜美がかき乱してる所でしょうね。」
以下略



8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/22(土) 23:08:52.32 ID:R4yff/rr0
「賭けるか?」
「……何を?」
「昼飯代。」
「…受けましょう。」
やった。久しぶりに一緒にご飯を食べれる。しかし焦ってはいけない、平静を装う事に努めなくては。ここで喜んでは、どちらが年上か分かったものではない。


9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/22(土) 23:10:42.89 ID:R4yff/rr0
「何処に食べに行こうか?」
「どこでも、いいですよ。プロデューサーのオススメとかないんですか?」
「うーん、じゃあ、一人では入り辛かったお店があるから、そこに行ってみよう。」
「分かりました。それじゃあ、結果確認といきましょうか。」
今にも鼻歌でも歌い出しそうな律子。足取りは軽く、リズミカルに階段を降りていった。
以下略



10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/22(土) 23:11:21.17 ID:R4yff/rr0
「ごちそうさまでした。」
「ごちそうさま。なかなか美味しかったな。」
「ええ、そのわりに安いですしね。」
「後は、お一人さま歓迎の雰囲気さえあればなぁ…」
「私でよければ、付き合いますよ?」
以下略



11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/22(土) 23:12:21.44 ID:R4yff/rr0
煙草を一本手に取り、咥える。少し俯き、着火。
「食後の一服……ってね。習慣になってきたよ。」
「たった1年で、変わるものですね。」
「変わるさ。律子だって、そうだろ?」
「そんな事、ないと思いますよ。」
以下略



12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/22(土) 23:12:53.66 ID:R4yff/rr0
「やっぱり、煙草は嫌いだったか?」
「あっ、いえ、そういう訳ではないんです!」
俺の気遣いに気付いたのか、やや大袈裟に言う。
「気にしないでください、すぐに持ち直しますから。」
どうしたと言うのだろう。しかし、この話題はあまり好きではなさそうだ。
以下略



13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/22(土) 23:14:13.06 ID:R4yff/rr0
「さて……少し手洗いに行ってくるよ。」
立ち上がり席を離れようとすると、腕をがっしりと掴まれた。
「プロデューサー?伝票を処理しようとしても、無駄ですよ?」
「ありゃ、バレてら。」
「今回は私の負けなんですから、代金は私が払います。」
以下略



14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/22(土) 23:14:59.65 ID:R4yff/rr0
「一緒に食事できただけで、こっちは良かったんだ。お釣りが出るくらいさ。」
「それはこちらも同じです。いいから、私に任せてください。」
こうなったら譲らないのが秋月律子だ。
「変わってないんだな。」
「あなたに比べれば、ですけどね。」


15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/22(土) 23:15:33.61 ID:Sce4XZsm0
リッチャンハカワイイデスヨ


16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/22(土) 23:17:22.25 ID:R4yff/rr0
事務所に戻り、仕事を終えた。
家に帰り、煙草を吸う。
これも新しい習慣だ。

突然鳴り出す俺の携帯電話。どうも電話でもメールでもないらしい。アラームだった。
以下略



17:>>16 「2年前の〜」はミス。正しくは「1年前の〜」
2013/06/22(土) 23:19:07.15 ID:R4yff/rr0
相変わらず事務所は慌ただしい。しかし、唯一鳴る電話の内容が「オーディション不合格」だけより遥かにマシだ。

「ふぅ、ようやく落ち着いてきたな。」
「なんとか山は越えたって感じですね。」
「とりあえず、お疲れ様。」
以下略



18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/22(土) 23:20:40.99 ID:R4yff/rr0
タイミングよく、雪歩がお茶を持ってきてくれた。
「ありがとう、頂くよ。」
「私も頂くわ。ありがとう。」
珍しく、煙草を吸わずに一服つけた。気が抜けてしまい、スイッチが仕事モードからゆっくりと切り替わる。
「そういえば律子、次の日曜日の夜、空いてる?」
以下略



19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/22(土) 23:21:20.99 ID:jPnkiLCWo
地の文と台詞の間にスペースあけたほうがいいかも


20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/22(土) 23:21:36.02 ID:R4yff/rr0
「よかった。一緒に食事でもどうかと思ってさ。」
「いいんですか……?ありがとうございます、お受けしますよ。」
じわじわと広がる喜びを、わざと丁寧な言葉で押さえつけている。
「楽しみだな。仕事を頑張る甲斐が、更に出来た。」

以下略



21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/22(土) 23:22:48.21 ID:R4yff/rr0
6月23日、20時。俺はしっかりとキメて、待ち合わせしておいたレストランの前で立っている。

「プロデューサー」

後ろから聞こえた律子の声に振り返ると、アイドルの衣装でもなく、いつものスーツでもなく、緑色の美しいドレスに身を包んだ律子がそこに立っていた。


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