過去ログ - 律子「煙草は人を変えてしまいます。」
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2013/06/22(土) 23:31:49.13 ID:R4yff/rr0
「お見苦しい所を、お見せしました……。」
「気にしてないよ。それより、大丈夫?」
「さっきよりは、だいぶマシになりました。」
顔色は確かに良くなってはいるが、まだ青い。
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2013/06/22(土) 23:32:33.72 ID:R4yff/rr0
「家が近くて、よかったです。歩きで帰れる範囲でしたから……。」
「この辺、近いの?」
「えぇ。結構近いんですよ。」
「……せっかくの誕生日なのに、こんな事になって、ごめんな。」
「いえ、謝る事では。むしろこっちが謝りたいくらいですから……。」
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2013/06/22(土) 23:33:56.83 ID:R4yff/rr0
「よくよく考えたら、ご家族と一緒に過ごしたりしなくても良かったのか?」
「私だってもう大人です、こういう日くらい、好きな人と一緒の方が……。」
呆気にとられる俺と、顔色がゆっくりと青から赤に変わる律子。
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2013/06/22(土) 23:34:55.96 ID:R4yff/rr0
「どうせ今日、言う気だったんですから。でも、少しだけ、時間をください。」
「構わないよ。」
立ち上がって後ろを向き、1分間ゆっくりと深呼吸を続ける律子。
そして、こちらに向き直る。
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2013/06/22(土) 23:36:53.64 ID:R4yff/rr0
涙が出そうになったが、理性でカバー。
抱きしめたくなったが、本能でセーブ。
縦に頷きたかったが、俺の中のつまらない何かがブロック。
「ありがとう。素直に嬉しく思う。だが、すまない律子。俺はお前とは付き合えない。」
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2013/06/22(土) 23:38:29.65 ID:R4yff/rr0
「私は、もうアイドルじゃありません。プロデューサーなんです。あなたと同じなんです!」
「……。」
「あなたと同じように、お酒だって飲めます!煙草だって吸えます!あなたと、同じなんです……!」
眼鏡の奥の瞳に、大粒の涙が浮かぶ。
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2013/06/22(土) 23:39:37.06 ID:R4yff/rr0
俺と律子の間を隔てていたのは、他でもない煙草だった。俺が煙草を吸い始めたのは、律子がアイドルを辞めたことがきっかけだった。
何かパッとしない、そんな毎日にスイッチを入れたかった。
俺にとって、律子がアイドルでなくなった事の記号が煙草だった。
律子がアイドルを辞めた事による空虚を、律子がアイドルを辞めた事の記号で埋めていた。皮肉な話だ。
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2013/06/22(土) 23:40:40.94 ID:R4yff/rr0
「あなたが煙草を吸っていなかったあの頃みたいに、一緒にいたいんです!」
律子の目に浮かんだ涙は、頬を伝って手の甲に落ちて行く。
「アイドルを泣かせるなんて、プロデューサー失格だな、俺は。」
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2013/06/22(土) 23:41:33.50 ID:R4yff/rr0
「タクシー、呼ぶから。」
「はい……。」
何分待ったかは分からないが、ようやくタクシーのご到着だ。
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2013/06/22(土) 23:42:05.98 ID:R4yff/rr0
遠くへ消えるタクシー。追いかける気力も無かった。
本当に俺は、この選択で正しかったのだろうか。
しかし俺は、恐らく初めて、本ものの恋を味わった。
どんなものでも、本ものは少し苦いって、律子が話していたっけ。
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2013/06/22(土) 23:43:02.20 ID:R4yff/rr0
家に帰ったが、煙草は吸わない。
新しい習慣が、邪魔でしかない。
何故断ったんだ、何故律子を悲しませたんだ、自らに問うても、答えなんか出る訳がない。
矛盾してる事に気付いてるから。
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2013/06/22(土) 23:43:49.12 ID:R4yff/rr0
そうだ、最初から分かっていたことだ。お互い理屈で語るのが癖だけど、理屈や損得勘定を抜いた時の言葉の方が、自分の気持ちに正直だった。
あの時、律子は正直だった。自分に正直で、俺に正直だった。
だけど俺は、律子の言葉に建前で壁を張り、律子に不誠実で俺自身に嘘をついた。
これではプロデューサー失格どころではない、人間失格だ。
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41
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2013/06/22(土) 23:45:13.15 ID:R4yff/rr0
律子に煙草を吸っている所を見つかった、いつもの屋上。
そこには、いつもの表情をした律子が立っていた。
「話って、なんですか?ゆうべの事だったら、もう……。」
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2013/06/22(土) 23:47:30.52 ID:R4yff/rr0
「あの子達の為に断ったって事くらい、分かりますよ。本当に、あなたは優しいんですから。」
「律子……。」
「世話の焼ける人です。でも、そんな人を、好きになっちゃったんです……。」
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2013/06/22(土) 23:48:38.47 ID:R4yff/rr0
「……律子、もう一つだけ。」
「なんですか?」
深呼吸。
そして、
以下略
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2013/06/22(土) 23:50:13.80 ID:R4yff/rr0
子供みたいにはしゃぎながら、零れ出した大粒の涙。涙でぐしゃぐしゃになった笑顔だったが、今までのどんな時より、好きだと思った。
「また、泣かせちゃったな。」
「違いますっ、これは、違うんですっ!」
「そっか。それなら、よかった。本当によかった。」
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2013/06/22(土) 23:50:50.36 ID:R4yff/rr0
おわり。
46
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2013/06/22(土) 23:53:01.10 ID:R4yff/rr0
くぅ疲。
見苦しい点も多々ありましたが、終わらせる事が出来て良かったです。ここまで読んで下さった皆様、本当にありがとうございました。
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[sage]
2013/06/22(土) 23:55:23.96 ID:jPnkiLCWo
乙
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[sage]
2013/06/23(日) 13:55:31.85 ID:kXfMOqBLo
おつ
誕生日か
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[sage]
2013/06/23(日) 14:10:14.02 ID:zqCQJqIo0
乙
タイトルで狙われた街ネタかと思ったがそんなことはなかったな
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