過去ログ - 「――――心に、じゃないのかな?」4<br>
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4: ◆v2TDmACLlM[saga]
2013/06/23(日) 21:28:20.07 ID:X2cPCFyW0




浜面「……行くか」

時間にして数分程度。バッグを肩にかけ、これで最低限の戦う準備だけは整った。

そもそも丸腰のままだった今までが異常だとも言えなくはないが、それは相手が能力者であったからこそだろう。
ステイルも、神裂も、一方通行も、なまじ力があるだけに能力者は己の力を過信する。
自分の力は強力だと、疑いもせずにその力だけで解決しようとしてしまう。

ただ人を殺すだけならば炎を使うより、刀を振るうより、直接触れるより、引き金を引く方が簡単なのに。

しかし、今回浜面が相手にするのは恐らく何の能力も持たない人間だ。
組織的に行動し、銃を構え、感情に左右されず引き金を引く人間だ。

そいつらと渡り合う為には、自分は余りに弱すぎる。
こんな装備では付け焼き刃にも程があるだろうけど、それでもないよりはマシだろう。

浜面「……コイツも、持っていくか?」

冗談の様に呟いて、浜面は足下に転がっていたその重量感のある塊を手に取る。
いつだったか吹寄から手渡された胡散臭そうな通販品だったそれだが、こんなものでも願をかけるには丁度いい。

振り回せば武器になるかもしれないし、もしかしたら銃弾から身を守ってくれるかもしれない。
あって邪魔になるという事は無いだろうと、浜面はそれを肩にかけたバックへ押し込む。

にゃあーと小さな声をかけられたのは、そんな瞬間。

浜面「……お前も、とことん着いてくるんだな」

投げた言葉を理解したのかしていないのか、スフィンクスが首を傾げる。
こんな時でもミサカが託していった小さな生き物は、自分の側を離れる事無く着いて来ていた。

  「にゃー?」

浜面「たっく、ほんとよく無事だよな。お前も」

軽くため息を吐き、浜面は足下にすり寄ってくるスフィンクスをそっと抱きかかえる。

かなりの時間を自分と共に行動していたというのにスフィンクスの体には傷一つなく、
今も人肌の温もりに溺れているその姿に若干の羨望を込めつつ浜面はまたため息を吐く。

浜面「行くか」

そして一歩を踏み出し、少年は少女と過ごしたその部屋を後にする。

振り返る事はしなかった。名残惜しく見つめる事もしなかった。

ここには、また少女と共に帰ってくると決めていたから。






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