過去ログ - ある旅行者の話
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1: ◆WoKACJPFC.
2013/06/27(木) 23:08:17.03 ID:5vk+taEv0

長い旅路を終えて、私はついに目的地にたどり着いた。

途方に暮れるほど長い時間、私はこの船とともに過ごし、いつかたどり着く目的地に思いを馳せていた。

約千年。詳しく言うと1024年間。

私たちの夢であった時間旅行は、人類の科学と情熱によって達成されたのだ。


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2: ◆WoKACJPFC.[sage saga]
2013/06/27(木) 23:09:25.94 ID:5vk+taEv0


冷凍された体がじわりじわりと溶けていく。
指先から始まり、瞼、唇、股間、そして心臓。

以下略



3: ◆WoKACJPFC.[sage saga]
2013/06/27(木) 23:10:35.50 ID:5vk+taEv0

私は、ゆっくりと上体を上げて息を吐いた。

上下する胸の筋肉がパキパキと鳴る。首を回し、手を握ったり開いたり、
あらかじめ決められていたマッサージのメニューを頭の中で確認しながら、私は入念に自分の体をほぐしていった。
以下略



4: ◆WoKACJPFC.[sage saga]
2013/06/27(木) 23:12:10.84 ID:5vk+taEv0

2時間ほど時間をかけ、マッサージを終わらせると私は自由に行動できるようになる。

私は、まず船に備えてあるシャワー室に向かい、体にこびりついている垢を洗い落とした。
顔をガシガシと洗い、髭を慎重に剃り、歯を丁寧に磨いた。
以下略



5: ◆WoKACJPFC.[sage saga]
2013/06/27(木) 23:12:55.61 ID:5vk+taEv0

コーヒーを挽き煎れ、トーストと卵を焼き、レタスとトマトで簡単なサラダを作る。
超越した科学は、食材を腐らせないらしく、食材は保存棚に出発した当時と変わらぬまま陳列されていた。

テーブルに座り、千年ぶりの食事を味わう。
以下略



6: ◆WoKACJPFC.[sage saga]
2013/06/27(木) 23:14:55.56 ID:5vk+taEv0

しかし、この食事は私の心を震わせてしまった。
コーヒーが喉を満たし、トーストと卵は胃を、レタスとトマトは口内を、
信じられないほどの幸福を私にもたらせてくれたのである。

以下略



7: ◆WoKACJPFC.[sage saga]
2013/06/27(木) 23:15:46.42 ID:5vk+taEv0

今まで、このように食事に対して心を震わせる経験を私はしてこなかった。
その結果、私はいま、自分がとびきり特別な空間にいるのだと気付いてしまったのである。

日常の習慣によって誤魔化そうとしていた、非日常に対する恐怖が一瞬で体を駆け巡る。
以下略



8: ◆WoKACJPFC.[sage saga]
2013/06/27(木) 23:16:46.69 ID:5vk+taEv0

時を飛び越え、何を成すためにこんなところにいるのか。
頭の中でやるべきことを暗唱した。

「         」
以下略



9: ◆WoKACJPFC.[sage saga]
2013/06/27(木) 23:20:08.40 ID:5vk+taEv0
今日はここまでです。
遅筆で不定期更新ですが、よろしくお願いします。




10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/28(金) 00:10:54.18 ID:WIG8EiMw0
期待



11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/28(金) 00:44:01.66 ID:/FUFa+xXO
乙。最近は面白そうなオリジナルが多い


12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/28(金) 00:53:07.64 ID:zF4PgZddo
先日読んだたんぽぽ娘は面白かったな


13: ◆WoKACJPFC.[saga]
2013/06/28(金) 21:04:39.30 ID:Q1r9Z1Na0

どうしようもない焦燥の中で、私はポッドの中に残っていたコーヒーを啜った。

先ほど私の喉を潤したはずのコーヒーは、先ほどより苦く、舌を痺れさせた。

以下略



14: ◆WoKACJPFC.[saga]
2013/06/28(金) 21:06:45.33 ID:Q1r9Z1Na0

私は、コーヒーをグイと飲みほし船の中を探索することにした。
いくらこの計画が極秘であっても、計画書のひとつやふたつ存在しているだろう。

この船の大きさは、大きめのリビングとキッチンがセットでひとつ、
以下略



15: ◆WoKACJPFC.[saga]
2013/06/28(金) 21:07:47.54 ID:Q1r9Z1Na0

私は、舐めるように部屋を探し回った。

しかし、探す時間が増えれば増えるほど眉間にしわが寄り始め、
手振りは大げさになり、息が浅くなっていった。
以下略



16: ◆WoKACJPFC.[sage saga]
2013/06/28(金) 21:08:39.58 ID:Q1r9Z1Na0

私は途方に暮れた。

そして、だんだんと怒りが募ってきた。

以下略



17: ◆WoKACJPFC.[sage saga]
2013/06/28(金) 21:09:24.36 ID:Q1r9Z1Na0

私は、もしかすると、頭の悪いサルのように安全性の調査のために送られた、
単なるモルモットに過ぎないのではないか。

なんてことだ!私は、柵に囚われた動物ではないか!
以下略



18: ◆WoKACJPFC.[sage saga]
2013/06/28(金) 21:11:19.00 ID:Q1r9Z1Na0

そう考えると、この状況は些か不安ではあるが、
私にとって自由を手に入れるための好機なのかもしれないと思えてきた。

何からも縛られることもなく、新たな時代に、自由に生きることのできるチャンスなのではないか。
以下略



19: ◆WoKACJPFC.[sage saga]
2013/06/28(金) 21:13:41.44 ID:Q1r9Z1Na0

棚に閉まってあった新品のシャツに袖を通し、
髪を整え、小物が詰まったスーツケースを抱えて、意気揚々と外とつながるドアの前に立った。

「この一歩は、世界にとって大きな一歩だが、私にとっては何て事のない一歩だ」
以下略



20: ◆WoKACJPFC.[sage saga]
2013/06/28(金) 21:16:21.59 ID:Q1r9Z1Na0
とりあえずここまで。少し時間を開けてもう少し書きます。

>>12 タンポポ娘面白いですよね。



21: ◆WoKACJPFC.[saga]
2013/06/28(金) 22:00:57.38 ID:mhLJutEo0
と思いましたが、今日はここまでにします。
ありがとうございました。


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