過去ログ - ある旅行者の話
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10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/28(金) 00:10:54.18 ID:WIG8EiMw0
期待



11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/28(金) 00:44:01.66 ID:/FUFa+xXO
乙。最近は面白そうなオリジナルが多い


12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/28(金) 00:53:07.64 ID:zF4PgZddo
先日読んだたんぽぽ娘は面白かったな


13: ◆WoKACJPFC.[saga]
2013/06/28(金) 21:04:39.30 ID:Q1r9Z1Na0

どうしようもない焦燥の中で、私はポッドの中に残っていたコーヒーを啜った。

先ほど私の喉を潤したはずのコーヒーは、先ほどより苦く、舌を痺れさせた。

以下略



14: ◆WoKACJPFC.[saga]
2013/06/28(金) 21:06:45.33 ID:Q1r9Z1Na0

私は、コーヒーをグイと飲みほし船の中を探索することにした。
いくらこの計画が極秘であっても、計画書のひとつやふたつ存在しているだろう。

この船の大きさは、大きめのリビングとキッチンがセットでひとつ、
以下略



15: ◆WoKACJPFC.[saga]
2013/06/28(金) 21:07:47.54 ID:Q1r9Z1Na0

私は、舐めるように部屋を探し回った。

しかし、探す時間が増えれば増えるほど眉間にしわが寄り始め、
手振りは大げさになり、息が浅くなっていった。
以下略



16: ◆WoKACJPFC.[sage saga]
2013/06/28(金) 21:08:39.58 ID:Q1r9Z1Na0

私は途方に暮れた。

そして、だんだんと怒りが募ってきた。

以下略



17: ◆WoKACJPFC.[sage saga]
2013/06/28(金) 21:09:24.36 ID:Q1r9Z1Na0

私は、もしかすると、頭の悪いサルのように安全性の調査のために送られた、
単なるモルモットに過ぎないのではないか。

なんてことだ!私は、柵に囚われた動物ではないか!
以下略



18: ◆WoKACJPFC.[sage saga]
2013/06/28(金) 21:11:19.00 ID:Q1r9Z1Na0

そう考えると、この状況は些か不安ではあるが、
私にとって自由を手に入れるための好機なのかもしれないと思えてきた。

何からも縛られることもなく、新たな時代に、自由に生きることのできるチャンスなのではないか。
以下略



19: ◆WoKACJPFC.[sage saga]
2013/06/28(金) 21:13:41.44 ID:Q1r9Z1Na0

棚に閉まってあった新品のシャツに袖を通し、
髪を整え、小物が詰まったスーツケースを抱えて、意気揚々と外とつながるドアの前に立った。

「この一歩は、世界にとって大きな一歩だが、私にとっては何て事のない一歩だ」
以下略



20: ◆WoKACJPFC.[sage saga]
2013/06/28(金) 21:16:21.59 ID:Q1r9Z1Na0
とりあえずここまで。少し時間を開けてもう少し書きます。

>>12 タンポポ娘面白いですよね。



21: ◆WoKACJPFC.[saga]
2013/06/28(金) 22:00:57.38 ID:mhLJutEo0
と思いましたが、今日はここまでにします。
ありがとうございました。


22: ◆WoKACJPFC.[saga]
2013/06/30(日) 01:06:21.29 ID:FTXTCDQr0

最初、私は世界の一面が血で染められているように見えた。

鮮やかで光を拡散するような鋭い色をした赤。
外につながるドアをゆっくりと開けた瞬間、私はつい顔の筋肉を強張らせた。
以下略



23: ◆WoKACJPFC.[saga saga]
2013/06/30(日) 01:08:56.75 ID:FTXTCDQr0

拓かれた平地に、等間隔に敷き詰められた郵便ポストは何処までも続いており、
右を見ても、左を見ても、それこそ墓地にある墓石のように並べられていた。

私は戦慄した。
以下略



24: ◆WoKACJPFC.[saga saga]
2013/06/30(日) 01:10:47.26 ID:FTXTCDQr0

私は、恐る恐る船から降り、一番近くにあるポストに向かった。


光沢のある表面に手を伸ばし静かに触れてみる。
以下略



25: ◆WoKACJPFC.[saga sage]
2013/06/30(日) 01:12:44.80 ID:FTXTCDQr0

私は、震える声でポストに話しかける。

『あなたは…生きているのでしょうか…?』

以下略



26: ◆WoKACJPFC.[saga ]
2013/06/30(日) 01:26:51.72 ID:FTXTCDQr0

ポストは、依然としてその立ち振る舞いを変えず、ただその場に存在するだけだった。
私は、もう一度ポストの表面に触れてみることにした。

暖かな血の流れが、たしかに感じられる。
以下略



27: ◆WoKACJPFC.[saga ]
2013/06/30(日) 01:31:20.79 ID:FTXTCDQr0

地面には薄黒い苔のような草が敷き詰められており、そこから無数のポストが生えている。

上を見上げると、そこは闇であった。
夜の持つ闇ではなく、何処までも深い井戸を見下ろしたような、筒抜けの空洞による闇であった。
以下略



28: ◆WoKACJPFC.[saga ]
2013/06/30(日) 01:32:58.55 ID:FTXTCDQr0

ここで、立ち止まっていてもどうしようもない。
私は、都会のビルのように立ち並ぶポストの間を歩き出した。

右を見ても、左を見ても、完璧に統一された赤いポストの集団がこちらを監視している。
以下略



29: ◆WoKACJPFC.[saga ]
2013/06/30(日) 01:38:27.56 ID:FTXTCDQr0

私は、いよいよ恐ろしくなった。
先ほどまで、ポストだと思っていたモノは、『血の通った得体の知れない物体』なのである。

私は、この世界において『ポスト』という理解できる物体の存在によって、かろうじて自分の心における常識を保ってきた。
以下略



30: ◆WoKACJPFC.[saga sage]
2013/06/30(日) 01:39:28.95 ID:FTXTCDQr0
今日はここまでです。ご視聴いただきありがとうございました。


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