過去ログ - 恵美「もしも魔王の正体に気づかなかったら」2巻
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14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/06/28(金) 21:35:19.05 ID:tARKFY50o
ここからでは声がよく聞こえない。
湧き上がる焦燥感に身を任せ、息を潜めて錆びた階段を登る。
そのまま共用廊下の、貞夫の部屋の前で身を屈めた。

……勇者としてどうなのかしら、これ。
ああもう、いいのよ。
この世界の勇者は人の家のタンスを開けたりツボを割ったりカッコいいポーズを取ったりするものなのよ。

少女「よろしいか、万能葱を刻んで生姜をすりおろし、つゆを冷水で希釈する。これだけであとはうどんを茹でればすぐに食事は整う」

どうやら先ほどの少女は、洗濯だけでなく食事も作っているらしい。
漆原が説教をくらっている。

芦屋「もっと言ってやってくださいカマヅキさん、身内がいくら言っても聞きませんから……」

芦屋の、心なしか元気のない声が聞こえた。
カマヅキ、さん。
……部下という線は消えた。

漆原「あれ? 芦屋、もしかして生姜、使い切った?」

芦屋「そういえば昨日、終わってしまったな。すいませんがカマヅキさん、今日は葱だけで……漆原、冷蔵庫の扉はきちんと閉めろ!」

最後の声だけやたらと力強かった。姑め。
そんなことを考えていると、……カマヅキさんの声が、生姜を取ってくると言いながら玄関の方に動き出した。

恵美「ちょっ……」

突然のことに慌てるが、この廊下に身を隠す場所などない。
とにかく、この場を離れないと……

気づけば、階段で足を滑らせて宙を舞っていた。

恵美「いやああああああ!!」


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