過去ログ - 恵美「もしも魔王の正体に気づかなかったら」2巻
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[sage saga]
2013/06/28(金) 21:38:52.91 ID:tARKFY50o
最後のあがきのように、忠告めいた言葉を絞り出す。
普通の人間が魔王である彼に近づいても幸せな結末は望みにくいのだから、と自分に言い訳をしながら。
恵美「……一応言っておくけど、あいつは普通の人の手に負えるような男じゃないわ」
恵美「できれば、近づかない方がいい。……と思う」
鈴乃「っ……! し、しかし、私はこう見えて色々な修羅場をくぐっている!」
目の前の無垢な少女から発せられたその言葉は、恋愛経験のない私への牽制のようにも聞こえた。
鈴乃「……が、そうだな、あなたがそう言うのであれば、自重しよう。きっとあなたにしか分からない何かがあるのだろう」
かと思えば今度は物分かりよく頷いてくる。
なんだか私を信用している様子だが、そうされるような振る舞いをしただろうか?
鈴乃「だが、そうは言っても私は今さらここを離れられない。図々しいことは承知だが、何卒、助力を願いたい」
恵美「……ええ、私にできることなら」
鈴乃「そうか……少し、これで安心できる」
自己嫌悪に苛まれながら答えた。
どの口で私はそう言うのか。
心の中では、応援などしていないくせに。
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