過去ログ - モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part3
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471: ◆kaGYBvZifE[saga]
2013/07/06(土) 23:55:20.45 ID:WWv5iVO20
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眼下に広がる風景を埋め尽くすマグマのそれに似た赤黒い波濤は、順調にカースが増え続けている
ことを示す何よりの証拠だった。
脈動する悪意が大地の底から滲み出し、形を得たそれは赤いオーラとなってカースの泥の身体から
立ち上り、遠目には街が燃えているようにも見える。
わらわらと湧き出す『憤怒』のカースの、薄闇の中に浮かび上がる姿は、地獄の悪鬼のようでさえあった。

数時間前まで平和な日常を送っていた街が呪詛の汚泥で満ちていくのをビルの屋上から眺めながら、
岡崎泰葉は口角を歪に釣り上げて笑った。

このカースの大量発生は無論、泰葉の仕業であった。
カースがどこまで自己増殖を続けることができるか、人間から発せられる感情はどれほどまで
カースの成長に影響を及ぼすのか、それらを調べるための実験としての試みである。

地下鉄や下水道に多数のカースの核を仕掛け、それらを同時多発的に覚醒させ街をカースで埋め尽くし、
ヒーローやGDFに介入する暇を与えず電撃的に街を制圧。
その後は、街の人間を捕らえて実験台にするなり、素質があるようならばカースの核を埋め込んで
カースドヒューマンにするなり、泰葉の思うままに事を運ぶことができる。
今のところ、すべては予定通りに進行している。

しかし今の泰葉の表情からは、実験対象を観察する学者の冷徹な目線はなく、むしろサディスティックな
法悦を湛えてさえいた。

見てみるがいい、逃げまどう者達の無様な姿を。日常とやらを理不尽に踏みにじられる様を。
何ら疑うことなく幸福を謳歌する者の、なんと脆く弱いことか。
尽きることのない憤怒や嫉妬がわずかばかり慰められるのを感じ、泰葉は胸が躍る気分だった。

これでこそ、あの『憤怒』の声――邪龍ティアマットの甘言に乗ってやった甲斐があったというものだ。


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