過去ログ - モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part3
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◆kaGYBvZifE
[saga]
2013/07/07(日) 21:43:12.75 ID:0KKU5keR0
その時だった。
幼い頃に聴いた覚えのある優しいメロディが、震える千秋の耳朶に触れた。
そして――どこかから、歌声が聴こえた。
「……?」
気がつくと、カースは扉に手をかけたまま静止している。まるで歌声に聞き入るように。
空の果て、虹の彼方にある理想郷を思い描いて、それを目指す勇気と希望を歌い上げるその歌は、
おそらくスピーカーか何かに拡散されて、遠い蒼穹の果てまでも広がっていったのだろう。
その優しい歌声は、千秋の恐怖に塗り込められた心までをを解きほぐしていくようだった。
無意識のうちに、千秋もその歌を口ずさんでいた。
「……Somewhere over the rainbow, way up high……♪」
今まで感じたことのない、不思議な気分だった。
様々な機材を通しているが、加工もされていないだろうその歌声は、ハッキリ言って素人に毛の生えた
程度の代物だ。発声もまだまだだし、ビブラートのかけ方も下手。技術の点で言えば、自分の方が
断然優れている確信がある。
けれど、何故だか心に訴えかけるものがある。
理屈では語れない、聴く者の心の澱を洗い流す何かが、そこにあったのだ。
自分の歌には宿ることのない何かが。
カースが溶けて崩れていなくなっても、千秋は歌声が聴こえなくなるまで『歌姫』と共に歌っていた。
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