過去ログ - モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part3
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567: ◆kaGYBvZifE[saga]
2013/07/07(日) 21:45:14.49 ID:0KKU5keR0
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プロデビューが決まったとはいえ、新人の千秋にはまだまだ仕事が少ない。

多くの時間をレッスンやレコーディングに費やしながら事務所の雑用や先輩歌手の付き人をしたり、
時にはスポンサーとの付き合いもあり、まず顔と名前を売って人脈を築くことが肝要となる。
ツアーやコンサートのような大きな仕事は回ってきようもないだろう。

その日千秋は、とあるホテルのディナーショーの前座で何曲か歌うことになっていた。

小さな仕事だが、いずれトップに立つためには必要な仕事と彼女も了解していた。
仕事を選り好みできるような立場ではないし、元より妥協や手抜きは彼女には無縁のことだ。
それに今夜自分の歌を聴いた者の中に、将来自分のスポンサーになってくれる者がいるかもしれないと
考えれば、手抜きの自分を見せることなどできようはずもない。

「これはもっと大きな仕事に繋がる中継地点……でも、だからこそ最高の歌を聴かせないとね」

自分に言い聞かせるように口中に呟き、千秋は控室の壁の向こう側にこことは違うどこかを見ているような
面持ちで出番を待った。

やがてショーが始まり、彼女の番が回ってくる。
所詮は前座の新人歌手と軽んじられても、今は全力を尽くすのみと決め込んだ彼女の歌声は、
一切の恐れも緊張も振り切って、堂々とホールに響き渡っていた。


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