過去ログ - 響「National Holiday」
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50:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/07/01(月) 20:50:35.67 ID:eKVRquV80

 響の瞳に自分の姿が映っていた。朝露で濡れた新芽のような、懸命に命を謳歌する、その心が映し出したような瞳の色。
そんな瞳に自分の姿が映っていた。

 硝子細工を扱うような手つきで両手を握られる。自分より小さな手。その手の暖かさ。
自然と瞼が降りた。

「ゆっくり歩くからね」

 止まりそうになるほどゆっくり歩く。視覚が失われると目の前に質量を持った闇色が現れた。
その暗闇に悪夢の続きが思い出され、足が止まる。

「大丈夫。怖くないよ」

 息の詰まるような暗闇に、暖かな明かりが灯った。原始的な松明のような柔らかい光。
それは目の前に二つ。確かな意思を持って灯っていた。

 その光を信じ歩みを進める。
速度を持たない歩みのなか、繋いだ手を通して声のない会話が続いているような沈黙。

「着いたよプロデューサー。あ、でもまだ目開けちゃダメだぞ!」

 感じていた傾斜が無くなり、平らな大地に立つ。
浅葱色の風に吹かれる。

「ここにごろんって寝転んでみて」

 恐る恐る腰を下ろす。光に支えられながら、ようやく足裏が地面から離れる。
座るとチクチクとするような感触。どうやら芝生の上に座っているようだった。

 大の字に寝転ぶ。隣でとさっという音が聞こえる。
左手に熱を感じ、握られる。その手を握り返してみる。

「いいよプロデューサー。目開けてみて」

 目を開ける。そこには――




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