39: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/02(火) 22:45:09.02 ID:bAq3pyUe0
僕は恐怖から見つかる事も厭わず大声を出していた。
喉が痛い。走って肺が痛い。足だって同じく痛い。
途中で転んですりむいたりもしていたが走った。
あそこには居たくない。わけがわからなかった。
元きた道を辿りながら自転車を見つけて、僕は泣いた。
僕は確かに勝手に人の家に入った。それは悪いことだ。
けれど、何であそこまで怖い目にあわなきゃいけない。
見渡すと家の光と車のヘッドライトが見えた。
ああ。助かった。何かに危害を加えられたわけではない。
でもそう思った。誰かがいる。幸せなことじゃないか。
「ただいま」
家に戻るとすぐに鍵を閉めた。何かを恐れていた。
そしてテレビも寝るまで点けっぱなしにしていた。
「いただきます」
長く放置されていた夕飯を口に、幸せを噛み締めた。
ご飯を食べられる。ここはあの部屋じゃないんだ。
その時、家の電話が鳴った。
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