856:モヤシンズグリード ◆TspHqBVqH9jK[saga]
2013/09/26(木) 21:53:06.44 ID:NUYEpYRdo
そして、風斬はそれらを全て叶える為の結論を出した。
「大丈夫、……です。あなたが……行かなくても、助ける方法はあります」
その言葉に、上条は思わず眉を潜める。
対する彼女は微笑みを浮かべて言葉を続けた。
「化物の、相手は……同じ、化け物がすればいいんです」
直後、上条の表情が息が止まったかのように凍り付く。
そんな彼に、風斬は安心させるように話しかける。
「私は……化け物の癖に弱いけど、囮ぐらいなら出来ます。
私が、殴られてる間に……あの子を逃がす事が、出来ます」
「駄目だ、絶対に駄目だ! それは何の解決にもならない!
俺達が誰の為にここに来たかまだ分からねえのか!?」
驚きで硬直した上条の表情は、やがて激しい怒りへと変わっていく。
その裏にあるのは憎しみではなく、風斬への優しさだった。
その事実が、風斬の胸を静かに締め付けていく。
「お前が殴られているのを背にインデックスが逃げると思うか?
有り得ねえだろ! アイツは絶対にそんな事はしない! できない!
俺達がどんな思いでここに来たか、分からねえとは言わせねえぞ!」
上条の言葉を聞きながら、風斬は地面に散らばっている破片を見た。
それは、上条達が立ち向かったモノ―――彼女と同じ化け物の末路だ。
全身を銃で撃たれ、砕かれ、地面に崩れて落ちていく。
それでも、それに対して悲しみを感じた者などいないだろう。
人間ではない、という事は、そう言う事だった。
「あなた達の思いは、……痛い程分かります、それに嬉しかった。
だから、……私のこの思いも……分からないとは言わせません」
風斬は真っ直ぐと上条の顔を見つめる。
その姿には、不安げな様子など微塵も感じられなかった。
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