過去ログ - とある熾烈の一方通行
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884:モヤシンズグリード  ◆TspHqBVqH9jK[saga]
2013/10/06(日) 20:03:57.93 ID:MEPvjn9ao

直後、シェリーは髪もドレスも振り乱しながら思いっきり投げ出される。
彼女の体は、汚い地下鉄の構内の地面を何メートルも転がり、ようやく動きを止めた。
先程の攻撃に余程自信があったのか、その顔には焦燥が色濃く浮き出ている。


「……くそ、ちくしょう」


シェリーは忌々しげにそう呟きながら、よろよろと立ち上がった。
怒りに染まるその表情は、余裕という仮面が外れた様にも見える。


「戦争を起こさなきゃ、火種を作らなきゃいけねえんだ、止めるな!
 学園都市はどうもガードが緩くなっている。イギリス清教にしても
 あの『禁書目録』を余所に預けたり、死神部隊の亡命に目を瞑るなんて
 甘えを見せ始めている。言うなれば、エリスの時と全く同じ状況なのよ。
 エリスの死から奴らは何も学ばなかった! だから、私が教えてやる!
 エリスの死を無駄にさせるものか!! 多少の犠牲はしょうがない!!!」


シェリーの叫びは、地下街に反響し上条の耳と心を揺るがしていく。
だが、上条はどうしても、それに共感することが出来なかった。


「多少の犠牲はしょうがない? ふざけるのもイイ加減にしろ!!!
 確かに、お前がエリスを失った哀しみや怒りは俺には一生分からない。
 だから、幾らだって泣けばいい、憤ればいい、殺したいと思えばいい。
 だけどな、それを何の罪もない人々に向けるのは絶対に許さねえ!
 お前が今殺そうとしているインデックスやお前が虫けらのように扱った
 風斬や警備員の人たちにだって、帰りを待つ大切な人がいるんだ!!!
 お前がエリスを失って哀しみに暮れて怒りに支配されたように!
 お前が多少の犠牲で済ませた人間にも、涙を流す人間はいるんだ!」


上条は、自分の胸にある想いを吐き出すように叫んだ。
どうしても、納得したくないからこそ彼は叫ぶ。


「甘ったれんじゃねえ! 自分だけが特別だなんて思うな!!
 火種を作る? 馬鹿馬鹿しい! その為にどれだけの人を苦しめた!?
 お前も、エリスを殺した奴らと何一つ変わらねえじゃねえか!」

「……うるせえ」


ギリ、とシェリーは奥歯を噛みしめる。
その顔には憎しみと悲しみが錯綜していた。


「わざわざテメェに言われなくても、そんな事ぐれえ分かってんだよ!
 私の行動は、所詮ただの八つ当たりだ! 御大層な理由なんざねえよ!
 でもな、本当に魔術師と超能力者を争わせたくないと思ってんだよ!」


相反する矛盾した叫びが、地下鉄の構内に響き渡っていく。
シェリーもそれに気づいたかの、自らを引き裂くように絶叫する。



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