過去ログ - とある熾烈の一方通行
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892:モヤシンズグリード  ◆TspHqBVqH9jK[saga]
2013/10/13(日) 19:28:33.36 ID:hYzcSBUeo

だが、それはインデックスの身体から発せられた音ではない。
不思議に思った彼女は恐る恐る顔を上げ、ゆっくりと目を開く。

そこにいたのは、ふわりと羽根のように宙を舞う風斬氷華だった。
その先では、ゴーレムが空中を三回転もしながら地面に激突している。

恐らく、インデックスの頭上を飛び越した風斬が蹴り飛ばした事であろう事は
簡単に予測できたが、彼女はそれを素直に信じることは出来なかった。

数トン単位の重量の誇る巨体を数メートルの吹き飛ばす程の飛び蹴り。
常識的に考えて、人間が扱う事の出来る力ではない。

そして、地に舞い降りる天使のように風斬は蹴りを放ったのとは逆の足で着地する。
瞬間、重たい振動が駆け巡り、半径二メートルに渡る蜘蛛の巣状の亀裂を形成した。


「ひょう、か……?」


インデックスは、声を掛けようとしたが途端に息を詰まらせる。
跳び蹴りを放ったと思われる風斬の右脚の膝から下が完全に消失していた。

恐らく、先程の強烈な一撃の反動に体が耐えられなかったのだろう。
しかし、彼女の足の切断面には骨や肉等、人間としてあるべきはずのものがなく
ただ不自然な空洞が広がり、当然の如く血は一滴も流れない。

しかし、インデックスが驚いて瞬きした後には既に傷は治っていた。
まるで、その傷がただの見間違いだったような錯覚を抱かせる程の速度。
彼女は反射的に人間の体に細工する魔術に関する情報をを頭の中から引き出すが、
目の前で起きた現象を説明できる材料は一個もなかった。


「逃げて」


インデックスに背を向けたまま、風斬は告げる。
―――まるで彼女の顔を見るのを避ける様に


「早く、逃げて。ここは、まだ危ないから」


その声色は確かにインデックスが良く知る風斬氷華のもので間違いなかったが
その口調はインデックスが良く知る怯えた感じなど一切なく、凛としていた。
心に燻る疑念が、友達に声を掛けるという簡単な行為さえをも制限する。



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