919:モヤシンズグリード ◆TspHqBVqH9jK[saga]
2013/10/20(日) 21:41:34.59 ID:ivDFo0iyo
「イギリス清教がこんな事実を知れば、即座に開戦だな。
まあ、死神部隊のサイコパス連中にしたら吉報だろうがな」
「何を言ってるのやら。万が一、君のその馬鹿馬鹿しい妄想が正しいとするならば
私はオリジナルの天国について熟知している魔術サイドの人間と言う事になる。
残念ながら私は科学にいる人間だ、容疑ならもっと私より詳しい人間にかけろ」
「ぬかせ、そんな奴いるはずがないだろう―――魔術師、アレイスター=クロウリー」
それは世界で最も優秀で、同時に最も魔術を侮辱したとされる魔術師の名前だった。
そう言われるようになったのは、彼は歴史にその名を遺すほど魔術を極めておきながら
突然、人が変わったかのようにそれを一切捨て去り、科学を極めようとしたことだ。
例えるならば、散々選挙の時に立派な公約を掲げておきながら政権を勝ち取った途端
一切それらを守らず、まるで見当違いの政策を次々に施行するようなものである。
もっと分かりやすく言うならば、魔術師代表として科学に屈したようなものだ。
故に、アレイスターは素人からプロに至るまで全世界の魔術師を敵に回した。
だが、そんな彼の正体は未だ誰にも看破されていない。
現在彼を捜索する手掛かりは全て彼自身が意図的に掴ませた誤情報だ。
元の情報が狂っている以上、それを元にアレイスターを調べても
科学的にも魔術的にも一致する点など一つも出る訳がなかった。
結果として、彼は同姓同名の別人もしくは偽名ということにされている。
それを実行出来ることと実行した事に土御門は思わず舌を巻いた。
土御門は勿論、普通の人間には無いものをアレイスターは持っている。
世界から称賛されたキング牧師のように、逆に批判されたヒトラーのように
―――世界を相手取れるほどの揺るぎない信念と堅い意思を
「負け惜しみがてら、お前に一つ忠告しておこうアレイスター」
「ふむ、聞こうか」
「この世界を動かしているのは魔術サイドの力でも科学サイドの技術でもない。
時に過ちを犯しながらも、前へ進み、世界を作り、変えてきた人間の魂だ。
あまり舐めすぎていると、取り返しのつかないしっぺ返しを食らうぞ」
彼がそう告げると、タイミングを見計らったかのように空間移動能力者が入ってきた。
露出狂のような格好の少女にエスコートされ、土御門はビルから出ていく。
誰もいなくなった部屋の中、アレイスターは誰に聞かせるでもなく呟いた。
「ふん、さすがに同じ失敗を二度も繰り返すつもりはないさ」
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