927:モヤシンズグリード ◆TspHqBVqH9jK[saga]
2013/10/23(水) 23:43:51.97 ID:VEIDHCZ5o
九月一日 午後五時 とある病院
「ほら見てくださいよ、今回俺全く以って無傷じゃないですか?
いやー、やっぱ人間って経験を積んで進歩する生き物ですよね」
診察室で上条がカエル顔の医者に対してはしゃいだ声を上げると
程なくしてその場にいた全員から冷たい目線が彼を容赦なく射抜いた。
「何故この状況下でそう呑気でいられるのでしょうか?
とミサカは深刻な顔であなたの精神状態を危ぶみます」
「……、はい?」
「一歩間違えていたら今頃あなたの拳は複雑骨折していました、
とミサカはランナーズハイ状態であろうあなたに警告します」
「や、やだなぁー。ご冗談がキツ過ぎるのでございますよ御坂妹さん」
「決して冗談ではないよ、むしろそうならなかったのが不思議なくらいだね?
人間の拳は精密な動きを可能とする分、関節が多いが故に衝撃に弱いんだね?」
医者と看護師二人からの三方向から説得力のある脅しを受けた上条の顔が真っ青になり
そうして途端に大人しくなった彼の手を手際よく包帯でぐるぐる巻きにしていく。
「まあ、仮にそうなっていたとしてもまだいい方だと言えるだろうさ」
「……御坂と一方通行の事ですね」
その言葉で上条は病院に運ばれる際に白井黒子から聞いたことを思い出した。
何者かが総合娯楽施設の屋上で自爆テロを図り、それに御坂美琴が巻き込まれた事を
そして、地下街で一方通行が瀕死の重傷を倒れている所を警備員が発見したことを
「あいつ等は無事なんですか?」
「彼女の方は咄嗟に隣のビルの壁に飛びついたようだから比較的軽傷で済んでるんだね?
でも、彼の方は強力な衝撃をまともに受けたようで予断を許さない状況だったんだね?
まあ、今はもう心配ないさ。そろそろ目を覚ます頃合いなんじゃないかな?」
上条は改めてカエル顔の医者の腕前に心から感嘆した。
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