過去ログ - 恵美「もしも魔王の正体に気づかなかったら」3巻
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]
2013/07/06(土) 19:38:52.55 ID:6QX93pwdo
結局、今決めなければいけない現実的な問題は、この子の世話を当面どうするかということだった。
一人暮らしで仕事のある私には難しく、六畳一間に男三人の魔王城も赤ん坊の養育環境としては望ましくない。
家族と暮らす千穂ちゃんの家に預けるのは、危険に巻き込む可能性も含めて論外だ。
鈴乃「私は別に仕事があるわけでもないし、引き受けても構わないぞ。これでも大勢の子供の面倒を見た経験はある」
その言葉に、他の全員が――漆原すら――安堵の顔を見せる。
……いや、違った。
とりあえず今決められることは決まったという雰囲気の中、貞夫だけが難しい顔をしている。
千穂「……あの、真奥さん? 何かあるんですか?」
真奥「ああ、一つ、いや、二つだけ腑に落ちないことがあってな」
横目で覗うと、彼はアラス・ラムスと、そして私を見ているようだった。
真奥「……どうして『ママはエミリア』じゃないんだろうな……」
おそらく聞かせるでもなく呟いたその言葉は、妙に耳に残った。
サタンと名指しで指定された彼。指差しで"まま"とだけ呼ばれた私。
何か、……胸の奥にしこりが残る。
それが私の中で具体化される前に、彼が言った。
真奥「決めた。アラス・ラムスは、魔王城が保護する」
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