過去ログ - 幸子「優しい優しい、プロデューサーさん」
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223: ◆S.3OfNv5Fw[saga]
2013/07/21(日) 19:32:37.27 ID:3F74c3xT0


「ちょ、ちょっとだけ、ちょっとだけ、お、落ちつきましょう! ね! えっと……あ、後ろから車来てますよ!」

「え? あ、あぁ……本当だ」


幸子に言われて初めて気がついた。いつの間にか私達の後ろに一台車が来ていた。
どうやらだいぶ長く待たせていたようで、ガラスの奥にうっすらと見えるドライバーは何やらこちらを睨みつけていた。
私は慌てて前を向き、窓を開けて清算をし始めた。駐車券を入れるのに手間取っていると、とうとうクラクションを鳴らされた。
何とか清算を済まし、私達は駐車場を出た。

横道から広い道路に出た。車通りは少なく、私達を乗せた車はスムーズに進んで行く。私は幾分落ちつきを取り戻していた。
わざとらしく咳払いをし、今度は努めてゆっくりと言う。


「あぁ……その、すまん。がっついたな。あぁ、いや……何と言うか、節操無しで、申し訳無かった」

「い、いえ大丈夫ですよ……ま、まぁ? ボクのカワイさのせいで、――さんがこうなってしまったというのもありますからね。
 一概に――さんだけを責めるつもりはありませんよ!」

「……すまんな」

「え、えぇ……」


幸子も幸子で何とかいつもの調子で喋ろうとしているが、やはりしどろもどろと言った感じになっている。
私は少し突っ走り過ぎた事を反省しつつ、幸子が喋りだすまで待った。
タイヤがアスファルトを蹴る音だけが、耳に響く。ハンドルを握る手に、妙な汗が噴き出していた。

私は敢えてミラーを見ようとせず、ただ車を走らせた。
そして、息を飲む音が聞こえた。覚悟を決めたらしい。




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