過去ログ - 文才ないけど小説かく(実験)4
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500:No.3 結婚前夜 5/10  ◆/xGGSe0F/E[saga sage]
2013/09/01(日) 14:58:49.35 ID:ho2+SDFr0

 いよいよ寝る段となって、美加は俺の布団に転がり込んできた。
「おい、自分の部屋で寝ろよ……」
「ええっ!? なんでそんなひどいこと言うの? うう、翔ちゃんがそんな冷たい人だったとは……昔は一緒に寝てくれた
くせに……」
「うるせーなー……本当うぜぇ。まあ、いいや、今日くらいは隣で寝てやるよ。だが一緒の布団は駄目だぞ」
「あらら、意外に貞操観念が固いようで。結婚初夜じゃないとエッチは駄目なの?」
「ブッ飛ばすぞ」
「えへへ、じょーだんだって!」
 最悪な冗句をぶっ放してから、美加は自分の部屋からずるずると布団を引きずって、俺が寝ている居間に布団を持ってき
た。
「おい、引きずったら布団汚れるだろ」
「いいじゃん、もう使わないんだし」
「いや、そう言う問題でもねーし」
「もーうるさいなー。ほらほら、美加ちゃんが添い寝してあげるから、お手手つないで寝ましょーねっ!」
「なんだよ、その誤魔化し方。今夜はやけにテンション高いし………………うざっ」
「小声で『うざっ』とか言うなあっ!」
 そんなくだらないやり取りをしながら、俺たちはそれぞれのタオルケットを羽織って寝転んだ。窓からは涼しい風が入り込
んで、暑さで火照った頬を撫でていく。蚊取り線香の、妙に心を落ち着かせる香りが、鼻をかすめて遠くへと運ばれていく。 そして辺りは、まるで世界中で人が死んでしまったかのように、しんと静まり返っていた。
 時々、バイクの音や犬の鳴き声、風が木々の葉を揺らす微かな音が聞こえてきて、その度に少しだけ安心する。世界で二人
ぼっちになったような奇妙な不安から、抜け出せる気がするのだ。





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