683:明日になれば(お題:明日)1/7[sage saga]
2013/09/29(日) 20:50:19.60 ID:kMzBO3pTo
前日から風が強く、その日は朝のTVのニュースでも「日本列島に今世紀最大の超大型台風が今夜にも上陸の
可能性!」と注意を呼びかけていた。
昼頃にもなると天気も悪くなり暗い雨雲が空を覆っていて、嵐になるのは火を見るよりも明らかだった。授業
は昼を午前中だけとなり、全校生徒は午後の授業を切り上げて一斉に帰らされた。
例外を除いて。
その例外というのが、この学校の生徒で二年の一樹(かずき)であった。彼は昨夜の時点で今日の授業が切り
上げられるであろう事を予想していた。そしてSNSを使ってこう宣言していた。
『明日もし台風で休校したらこの今世紀最大の台風の中、俺は学校にこっそり宿泊するぜ』
偶然にも一樹と同じ学校の生徒の何人かがそれを見ていたらしく。賛同者が集まり総勢五人で無断宿泊をする
運びとなった。
宿泊する場所が立ち入り禁止になっている旧校舎の一室となった理由は「なんか、それっぽいから」だった。
夕方前には数人残っていた教員も全員帰り、ようやく学校に誰もいなくなる。それを校庭の隅に潜んで待ちわ
びていた一樹は旧校舎の裏へと走って向かう。
一樹は当然一番乗りは自分だと思っていたが、すでに先客がいた。
「よう、じゃあちゃっちゃと開けようか」
「了解了解!」
そこにいた人物と顔を見合わせ互いににやっと笑うと簡単に言葉を交わし次の行動へと移る。以心伝心と言う
べきか、彼らは多くの言葉を語る必要はなかった。
先に旧校舎の裏口に来ていた少年、次春(つぎはる)と名乗った少年は軽く準備運動をすると、扉に向かって
ショルダーチャージを開始した。一回、二回、三回と。
この旧校舎の裏口の扉は鍵がかかってはいるが、老朽化の所為かこんな風に衝撃を与えると鍵が外れてしまう
という困った構造をしていた。
四回目のバンという体当たりの音のあと、カチャリという鍵が外れる音が次春とすぐ横で見ていた一郎の耳に
届く。再び二人はにやりと笑うと旧校舎の中へと足を踏み入れ、二人は内部を探索し始めた。
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