684:明日になれば(お題:明日)2/7[sage saga]
2013/09/29(日) 20:51:18.07 ID:kMzBO3pTo
午後六時を過ぎる頃には外は真っ暗になり横殴りの雨が吹き荒れて始めていた。旧校舎の二階の予備の体育用
具の置いてある一室を一樹たちは寝床と決め、集まっていた。ここにした理由は若干カビ臭いとはいえ体育マッ
トがあったし、何より機材が積まれていて窓の半分の高さほどは覆い隠していので、窓の外は木が立ち並んでい
たので少しの明かりなら外に漏れにくいだろうという理由だった。
その窓の外の木の間からまばらに見える住宅街の明かりを見ていると、まるで夜空がそのまま地上に落ちて来
たのかとさえ思えた。
そう思えたのは、ロウソクの薄暗い灯を照明代わりにしていた所為もあるかもしれない。
「そう……ちょうどこんな嵐の日だった。
その建物は古い木造の建物で、ところどころピチャリ、ピチャリと雨漏りがするような……廃墟と言っていい
かもしれない。……そこで彼らは肝試しをしていたんだ」
低いトーンで怪談話をしているのは三太(さんた)という少年で彼は人を怖がらせる事に喜びを感じる困った
奴で、実際一樹と次春は彼にこの旧校舎で出会った時に驚きをプレゼントしてもらっていた。
「ひっ!」
その正面で息をのんで小刻みに震えているのは三太の連れてきた伍代(ごだい)という彼の友人。三太にここ
に連れてこられた時もすぐさま「三太によって一人にはぐれさせられて」しまっていた。要するに三太の玩具。
そんな伍代を階段下の隙間に隠れていると自分に教えたのが司郎(しろう)だったなと一樹は思い返す。
その司郎は最初から跳び箱の上に座っていて、微動だにせず天井に映るロウソクの揺らめく灯をぼうっと見つめ
ているように一樹には見えた。
ずっと続く三太の怪談話。止める者は誰もいないまますでに二時間は経過している。
「……あれ、おかしいな? と周りを見回すと確かに一人、いなくなっていたんだ」
なおも続く三太の怪談話。気のせいか、何か違和感。
「なあ、何か聞こえないか」
次春が一樹にポツリと声をかけてきた。それはとても小さな声であったけれども、三太だけが喋っているその
空間に響いてその声を途切らせ、静寂。
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