688:明日になれば(お題:明日)6/8[sage saga]
2013/09/29(日) 20:57:02.66 ID:kMzBO3pTo
二人で元いた部屋に戻ってみると、そこに倒れ込んでいるはずの伍代の姿はなく部屋には誰もいなかった。
三太は部屋中を見回り伍代を捜し始めるが、結局伍代の誰の姿も見つけることは出来なかった。
次春とリク……ナントカと言ったあの遅刻者もまだ戻って来ていないようだった。
「どうした? 何か気になる物でもあったか?」
三太は一樹が壁際にある跳び箱の上の方をじっと見つめているのを不思議に思い声をかけた。
「いや、『誰もいないみたいだな』」
と素っ気なく返事を返す一樹はそのあとぶつぶつと「いない、いるはずない」と独り言を呟いたあと突然「捜
して来る」と、彼らは足早に部屋を出て行ってしまった。
最初三太はここに来た当初にはぐれてしまった碁情を見つけ出したのも一樹だったから彼らに任しておいて大
丈夫だろうと思い、一息つこうとして――何かよくない予感がしたため急いで一樹を追う事にした。しかし三太
が廊下に出たときにはすでに一樹の姿は見えなくなっていた。
すぐに追いつくだろうと思っていたが、誰にも会う事はなかった。暗い廊下を一人で携帯電話のライトだけを
便りに歩いていると、先程までは感じなかった孤独感が押し寄せる。
というよりも恐怖感だろうか、三太はなぜか今に限ってはそういう気分になった。何故だろうか……わりと有
名な心霊スポットへ何度か行った事もあったが、平気だった。その時は一緒に行った他の誰かの怯える様を見て
楽しんでいたが、今はその対象がいないからだろうかとも思えた。
結局誰にも出会わないまま、元いた部屋に着いてしまった。ふと時間を見るともう午前零時に近づいていた。
おいおい、もう明日になっちまうじゃないかとため息をつきながら携帯電話を胸ポケットに突っ込みその場に
座り込み、どうしたものかと天を仰ぐ。
実際に三太の視線の先にあったのは天井だった。何の変哲もないただの天井。何か無いのかと聞かれたとして、
強いて言うとするのであれば所々黒いシミがあり多少汚れている事と、天井点検口が一つあるくらいだった。
三太はその点検口の下にふらふらと歩いて行ってそれを見上げていると「開けてみようかな」という気になっ
てくる。
すぐ横には部屋に唯一ある跳び箱が置いてあり、その上に乗れば容易に手が届く事だろう。
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