過去ログ - 文才ないけど小説かく(実験)4
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708:ゆっくりと空っぽになる(お題:さよなら)  2/10 ◆/xGGSe0F/E[saga sage]
2013/10/08(火) 02:30:47.29 ID:j/UhbHsu0

 それでも、理不尽にこの世から消え去ってしまうかもと言う不安におびえながら、僕の生活は変わることなく続いている。
 毎日のように誰かが近くで消え去っていくのを眺めている中で、今日も僕は、この暗く澄んだ星空の様に、変わり映えも
ない日々を過ごしている。朝八時半に起きて隣町の工場に行き、延々と流れ続ける同じ形の発泡スチロールに同じ商品を入
れ続けて、仕事をしていると言う満足感を得て過している。こんな仕事を死ぬまでやり続けるのかと考えた時に、二十九歳
の僕はうんざりとした気持ちを抱いて、死にたくなってしまうことだってある。もちろん僕がその職業、もっと言えば生き
方を選択したわけだから、文句をつけるなんておこがましいとは思うのだけれど、でもふとした時に、なんだか寂しくてつ
まらない人生だなあと感じてしまうことは、仕方がないことのような気もするんだ。だけれど、それを変えようと言うエネ
ルギーもわいてこないし、努力もしないから、結局僕は延々とこのままなのだろうと言うことも、逆らうことが出来ない運
命の様に受け入れてしまっている。流れてくる発泡スチロールたちと同じように。僕は何にも希望を持っていない。
 ただ唯一、最近楽しみなことが出来た。それは僕の単調で乾いた人生に、充分な潤いを与えてくれていた。その楽しみな
事と言うのは、長らく女性に縁がなかった僕に、恋人が出来た事なんだ。まさか愛しい人と一緒に暮らせるなんて、これは神
様が僕に与えてくれたご褒美に他ならないだろう。これはとんでもなくハッピーな事なんだ。なにせ、ずっと恋い慕ってきた
想い人と、僕はようやく結ばれることが出来たんだからね。僕の生活にも、ようやく潤いのようなものが出てきたのではない
だろうか。




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