96:欲深い俺が歴史戦略ゲームの世界に迷い込んだ 3/3(お題:欲深い) ◆d9gN98TTJY[sage]
2013/07/24(水) 13:50:02.75 ID:MyiDTiqD0
農民が無理スンナ。
とはいえ、知識と教養は後で付け加えればいい。今必要なのはこういうその場その場で
知恵が回る奴だ。
「いいか、最初の二年は防衛に徹せよ。落とされる前には必ず救援に向かう。だがお前ら
は山中の強みを生かして水源を握れ。水車と鼓の準備が八割方整ったら、一気に日干しを
仕掛ける。その時に、平地の連中には戦えば勝てると自惚れて貰わなくては困る。よって
それまでの間、追撃は禁ずる。いいな?」
「はっ」
「死ぬ気で守り、死ぬ気で戦え。だができれば生き延びろ。数年内に平地を手に入れる。
それに隣する海も手に入れる。山の幸は旨い。だが米も旨い。そして魚も旨い筈なんだ。
みんなでおいしいものを腹いっぱい食うぞ!」
おうおう。欲深いものどもが目をらんらんと輝かせ始めたわ。
「殿もそれをお望みでしたか」
「あん? よりよく生きたいのはお前らの望みだろ?」
なんだか同類を見つけたかのように馴れ馴れしく言ってきたから思わず言葉でばっさり
返してしまったが、まあ、そんなに根に持ってなさそうで笑顔のままだから別にいいか。
「では、殿は何を?」
「見てみろよ、あの纏まりのない小さな境界争いでジグザグになった田んぼの形を」
じぐざぐ……? という呟きは聞こえるが、まあ大体の内容は通じているだろ。
「あれを全部俺のものにして、もっとよりよく整えて、もっとより沢山の米を作る」
「そんなに作っても食いきれませんぞ」
「なら、他に奴に食わせればいい。で、そいつらでまた新しい田畑を作ればいい」
この理屈が理解できないのか一様にキョトンとした面を向けてくる。面倒臭いが、まあ
もう少し細かく説明してやるか。
「なら飯を食えずに争う奴もいなくなるだろ? だが、その分そいつらにも一度命を掛け
て貰い、また新たな土地も開墾するんだ」
この偉大な俺の構想を理解したのかしてないのか、少しばかりの沈黙が流れて……やや
もって鉄之助が静かに口を開いた。
「殿はそれでよろしいので?」
「ああ、なんてったって俺は内政フェチだからな」
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