967:私(お題:久方ぶり)5/7
2014/01/22(水) 15:06:21.45 ID:9MEAyqUio
「もうマラソン飽きたよね」
「だね。おんなじところぐるぐるぐるぐるアホかって」
電車の中でいつもどおりに愚痴を言い合う。優子、美幸、私は途中の駅までは同じなのでい
つも一緒に帰るのだ。
「あ、そういや仁美がさー、体育の時マラソンサボって電話してたんだよー」
「電話?」
「そう、体育の授業中に」
「いつ?」
「え、今日の……何時間目だったかな」
「なんで?」
「……えーっとね、なんかライブがどうとか言ってた。そのせいで私先生に名前呼ばれたの
気づかなくて怒られたの」
「ふぅん……」
二人はそこで黙り込んだ。
「……どうしたのふたりともそんな怖い顔して」
まるであの時の仁美のような。
「あ、そんな顔してた?」
「うん」
「いや、ばれないのかなと思って」
「案外ばれないんだねー」
私はそう答えたが、何か違和感を感じていた。私は笑い話のつもりでこれを話したのに、二
人の表情はまるで悲惨な事故の話でも聞いたかのようだった。
「あ、ここ明美の降りるとこじゃん!」
見ると、確かに見慣れた駅名の標識が窓の外にあった。
「うん、それじゃ」
私はかばんを持って立ち上がり、電車を降りた。
やっぱり変だ。いま何か、優子に急かされたような気がした。何か……何か隠してる? 何を?
行ってしまった電車のほうを振り返ると、ホームに優子と美幸が立っていた。
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