過去ログ - ミュウツー『……これは、逆襲だ』
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800: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2014/04/21(月) 20:57:08.24 ID:TY0tlMqOo
鼻歌が聞こえる。
あのひとは、すごく機嫌がいいみたいだ。
あのひとが着ている暗い色のシャツ。
壁にかけられた、明るい夕暮れみたいな色のジャケット。
丸太が剥き出しの、家の壁。
どれも見慣れたものだ。
その足元に、ただ目を向けている。
意識して何かを見ているわけでもない。
ころころと何かが転げ落ちたところも、ただなんとなく見ていただけだ。
あのひとは机に向かい、椅子に座っている。
かかとを少し浮かせ、爪先を床に突き立てて、何かをしている。
その机の上から、あのひとが置いたばかりの、ほんの今まで使っていた何かが床に落ちていった。
転がったその『何か』が、鈍い音をさせながら目の前までやってきた。
ちょっと手を伸ばせば届くところで、その白っぽい塊が止まる。
それを、やっぱりじっと見る。
塊は、長方形の角が崩れて薄汚れている。
見たところで、何を思うわけでもないけれど。
単に動いているから、目を向け続けてしまっただけだ。
それはたぶん、心や気持ちよりも、本能に近い部分なんだと思う。
あのひとは、ものを落としたことに気づいた様子もない。
しばらくして、あのひとが急にきょろきょろし始めた。
?????「あれっ、消しゴム」
どうやら、さっき落としたものを探しているようだった。
あれは、『けしごむ』という名前のものらしい。
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