過去ログ - 恵美「もしも魔王の正体に気づかなかったら」短編集
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24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/07/13(土) 19:19:12.22 ID:OcKQEmd6o
静かに深呼吸をして、彼女は席を立った。

千穂「ちょっと早いけど、もう戻りましょう、真奥さん」

真奥「え、ちーちゃん、ちょい待ってよ」

自分のそもそもしたかった話ができず慌てる真奥だったが、

千穂「駄目です、聞きません」

彼女は微笑んで彼の言葉を遮った。

千穂「前に言いましたよ。私が真奥さんのことを好きでなくなるときは、私が決めます」

千穂「だから、聞きません」

彼女の胸に宿る想いは、未だはっきりと形を残していた。
たとえ届かぬものだとしても、それは彼女にとってかけがえのないものだった。

はっきりと口に出して断られたら、この想いを消さなければいけなくなる。
それは嫌だった。いつか――それがいつになるとしても――自然と消えるまで、千穂はそれを大事にしておきたかった。

少しのあいだ千穂を見つめたあと、真奥は観念したように頭を掻いた。

真奥「……ほんと、これだから人間ってやつは」

千穂「そうですよー。真奥さんももっと人間の気持ちを勉強してください。むしろ遊佐さんが可哀想です」

真奥「……頑張るよ」

休憩時間が終わる。
彼らは笑い合って、職場に戻った。


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