45: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:38:07.93 ID:EnRHzSex0
「先生。おはようございます。わたしは、先生の授業、好きですけれど」
そう答えたのは彼女だった。そして先生も、かなり生徒に馴染んできている。
その大雑把な性格と、嘘を吐かない素直さが、生徒の評判を呼んでいたのだ。
「そうだろ。お前は分かってる。出席点に、少しだけおまけしといてやるよ」
「それに比べて、お前は。何でげんなりしてんだよ。勉強教えてやっただろ」
「そうだけど。先生の授業は、解りやすいけど、テストが難しいから。うん」
仕事は慣れたけど、難易度の調整なんて、慣れてねえんだよ。ほっとけ。
先生はそう言い、すぐに新入生の名前を覚える作業に入っているようだ。
仕事に慣れたのに、そこには慣れていないのか。難しいものなのだろう。
「ああ。今日から、お前ら二年生の数学を教える。問題起こすなよ。以上だ」
先生は、相変わらずの自己紹介であった。それでもうけているらしい。
「よろしく先生」「出席点ゼロにしないで」などの声が上がっていた。
授業の準備があるらしく、先生は、そそくさと職員室へ消えていった。
「一時間目なんだっけ。宿題、答え合わせしない?気が気じゃないんだ」
「間違ってたら、間違ってたらでいいじゃない。失敗を恐れてはダメよ」
「何度失敗したっていいのよ。最終的に正しい答えに行き着けばいいの」
「人生だって、そういうものだと思う」
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