88: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 19:06:01.86 ID:EnRHzSex0
「いいのよ。わたしは、これから、自分勝手なことをしようと思う」
「わたしは、わたしのために、あなたを幸せにして、不幸にするの」
「先に謝っておく。ごめんなさい。この気持ちだけは、伝えたいの」
「これが、最後になるかもしれないし」
そう言うと、彼女は屋上からさらに上にある、給水塔の上に登っていく。
「おいで」と手招きされ、僕もはしごに上り、彼女の隣に並び、座った。
「星が綺麗。なんて言うか、星に手が届きそう。届かないけど」
「君は、現実的だ。先生にそっくりだよ。そう思わないかな?」
「同じ事を考えてる、という意味では、そうだと思う。本当に」
しんみりした表情でそれを告げると、彼女は大きく深呼吸をした。
その横顔は、何だか赤いように思った。ああ、きっと、彼女は。
「わたしは、あなたのこと、好きよ」
「うん。僕も、君の事が―――――」
僕がそう言う前に、彼女は、僕の口を唇で塞いでいた。
まだ、なのか。僕が君に告白するのは、まだなのか?
一瞬であっても、僕の口の中に、幸せの味が広がった。
…幸せの味、だって?
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